食品の新たな機能性表示制度について(2)

By | 2014年3月3日
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201403

製品分析と情報開示


読者の皆様の多くは一般の加工食品に関する企業の方と思いますが、これまで「いわゆる健康食品」と呼ばれていたものが大きく変わる節目にありますので、先月に引き続き、消費者庁において検討会が開催された「食品の新たな機能性表示」について取り上げてみます。

2月25日に行われた第3回検討会では、主に「安全性の確保」について議論されています。
第2回検討会に引き続き、大きく2つ示された対応方針は、
「?事業者は品質管理の実効性を担保するため製品分析を行うこと」
「??の結果を含めて、生産・製造及び品質の管理の方法については、広く情報を開示することとする」といった内容でした。

製品分析(関与成分量の分析、安全性に関わる成分の量の分析)については、これまでも機能性食品を製造する多くの事業者がされていることから、ここでのポイントは「情報開示」となります。目的に「消費者の自主的かつ合理的な商品選択に資するもの」とあることから、消費者にリーチできる状態での情報開示が求められると考えてよいと思います。

情報開示項目案は、HACCPやGMP等の取組み状況に加え次のとおりです。

(1)関与成分量及び安全性に関わる成分の量に関する規格
(2)施設や作業員の衛生管理体制
(3)異物混入や他製品との混同の防止体制
(4)製品の均質性とその管理体制
(5)規格外製品の出荷防止体制
(6)製造・品質等の記録文書やサンプルの保管体制
(7)製品分析の結果

3つの食品形態


第2回検討会で提示された資料と、第3回検討会で提示された資料の差を見てみると、例えば「関与成分と医薬品等の相互作用の有無」等を事業者が評価する内容について、3回目の資料では記載がなくなっていました。しかし「関与成分量及び安全性に関わる成分の量に関する規格」を設けて管理することから、これらの内容は引き続き考慮されると考えてよいと思います。

引き続き資料に使用された内容を確認すると、やはりひとくちに機能性と言っても、食品の形態により管理方法は異なるとした考え方は重視されています。参考にするアメリカの制度(栄養補助食品健康教育法:DSHEA)と異なり、原則すべての食品を対象として設計をはじめた今回の制度は、「錠剤、カプセル、液状等製品」「その他の加工食品」「生鮮食品」として大きく3つの食品形態をあげています。

これらのうち、情報開示項目がもっとも多くなる食品形態に、食経験の評価や過剰摂取などの課題があるものとして「錠剤、カプセル、液状等製品」をあげています。

今後するべきこと


今後検討会では、「機能性に関する科学的根拠」についての方針と、その情報開示について議論されるものと思われます。加工食品を製造される方におかれても、今後市場が大きく変わると思われる「サプリメント形態(錠剤、カプセル、液状等)の機能性食品」を検討される方は、引き続き準備が必要と思いますので、その内容をまとめてみます。

・米国DSHEAの構造機能表示制度についての調査
・原材料の安全性情報(過剰摂取、医薬品との相互作用等)の確認
・原材料の機能性情報(論文等の科学的根拠)の確認と、試験等データの確保
・製品分析体制の確認と、製品別の認証レベル(HACCP、ISO、GMP等)の確認
・販路政策と広告政策(保有する科学的根拠での実証性の確認)の見直し
・ウェブサイト等での情報(安全性、機能性)開示体制の確認と、今後の方針設定

機能性に関する科学的根拠について、各方面の識者よりその必要性を議論されているものを集約すると、まず「関与成分のメカニズムの解明」、そして外部試験機関での「ヒトでのランダム化比較試験(二重盲検)」と、査読つきの「論文」による客観性の確保となります。そのうえで、広告表示の実証性を確保することが必要とされると思われます。

これら機能性に関する科学的根拠について、昨年12月24日に消費者庁より発表された「いわゆる健康食品に関する景品表示法及び健康増進法上の留意事項について」において「効果効能の裏付けとなる合理的根拠を示す実験結果、データ等をウェブサイト上に適切に表示することが望ましい。」「薬事法に抵触するものではありません。」と記載されていることから、ウェブサイト上での情報開示が今後も進むものとみられています。

ちなみに栄養表示の議論にはあった「小規模・零細事業者への配慮」は、強調表示にあたることから今回の機能性表示制度では見受けられません。そのため各地域で進められている6次産業化にも、大きな影響があると思われます。今後の市場の変化として、試験や管理と広告の重要性から資本力の影響が強くなるのはもとより、品質管理の重要性から主力商品(成分)自体に変化がある、また多くの情報を必要としてきたために伸び続けた通信販売と店舗販売の関係にも、大きな影響を与えると思われます。この表示制度の変化は、引き続き取りあげていきたいと思います。


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川合 裕之
食品表示検査業をしています。国内と海外向けに、食品表示検査と原材料調査サービスを提供している経験をもとに、食品表示実務に関する講演をしています。

■職歴・経歴
1974年 岡山県生まれ
食品メーカー勤務後、2003年に食品安全研究所(現株式会社ラベルバンク)を設立。
「分かりやすい食品表示」をテーマとし、「食品表示検査・原材料調査」などの品質情報管理サービスを国内から海外まで提供しています。また、定期的に講演活動も行っています。

■主な著作物・寄稿ほか
【共著】
『基礎からわかる 新・食品表示の法律・実務ガイドブック
Food Labeling Law and Practical Guidebook』 (レクシスネクシスジャパン, 2014)
【寄稿】
・2017年~2018年連載 『食品と開発』(UBMジャパン)表示ミスを防ぐための食品表示実務の大切なポイント~
・2014年~連載『季刊シール&ラベル』(日報ビジネス)食品表示にまつわるワンポイントアドバイス
・~2010年連載 『フードプラスワン』(日報アイビー)食品表示ワンポイントレッスン
・~2010年連載 『ヘルスケアマーケットレビュー』(大阪産業創造館)
【講義】
・2009~2014年 東京農業大学生物産業学部 特別講師

■最近の講演実績
・2019年2月22日 食品表示作成・チェックにおける実務上の大切なポイント~アレルゲン、栄養成分、原料原産地表示などを間違えないために~
 公益財団法人 山口県予防保健協会、山口県、一般社団法人 山口県食品衛生協会様主催。
・2019年2月26日 すべての加工食品が対象~原料原産地表示のポイントについて~
 兵庫県指定観光名産品協会様主催。

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