玄米及び精米に係る食品表示制度の改正について

By | 2021年6月7日
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 令和3年3月17日に食品表示基準の一部を改正する内閣府令が公布されました。改正の内容は、玄米及び精米に係る食品表示制度についてです。こちらの施行は令和3年7月1日で約1か月後となりますので、施行日を前に改めて今回の改正内容について触れてみたいと思います。

玄米及び精米に関する表示の改正の概要と、基本的な表示の考え方について


概要

  1. 農産物検査による証明を受けていない場合であっても産地、品種及び産年の根拠を示す資料の保管を要件として、当該産地、品種及び産年の表示を可能とし、
  2. 農産物検査証明による等、表示事項の根拠の確認方法の表示を可能とするとともに、
  3. 生産者名等、消費者が食品を選択する上で適切な情報を一括表示枠内に表示できるよう、食品表示基準を改正。

基本的な表示の考え方

単一原料米と表示する場合

  • 産地、品種及び産年が同一であり、かつ、その根拠を示す資料を保管している原料玄米については、「単一原料米」と表示し、その産地、品種及び産年を併記します。
    (この場合の産地は、国産品にあっては都道府県名、市町村名その他一般に知られている地名を、輸入品にあっては原産国名又は一般的に知られている地名を表示します。)

単一原料米以外の原料玄米を表示する場合

  • 単一原料米に該当しない原料玄米については、「複数原料米」等原料玄米の産地、品種及び産年が同一でない旨を表示し、その産地及び使用割合を併記します。その場合には、国産品及び輸入品の原産国ごとに使用割合の高い順に表示します。
  • 産地、品種又は産年を表示したい場合は、その根拠を示す資料を保管すれば、表示の「原産国名及び使用割合」の次に括弧を付して産地、品種又は産年を使用割合と併せて表示することができます。

表示事項の根拠となる情報の確認方法の表示

  • 産地、品種及び産年の全部又は一部を表示する場合において、その表示事項の根拠となる情報の確認方法を表示することができます。

引用:『玄米及び精米に係る食品表示制度の改正について』令和3年3月 消費者庁食品表示企画課

 今回の改正により、改正前の食品表示基準第23条第2項第1号で規定されていた「未検査米の原料玄米にあっては、品種又は産年を表す用語」が表示禁止事項から削除されました。また、食品表示基準Q&Aも3月17日に改正され、玄米及び精米に関する事項について新たな内容が追加されています。

具体的な表示例について


 食品表示基準Q&A(玄米精米-2)3.④に挙げられている表示例をいつくか見てみたいと思います。

【農産物検査法による証明を受けている場合】
(表示例1)全ての原料玄米について、農産物検査法による証明を受けている場合で、その確認方法を表示する場合①

農産物検査法による証明を受けている場合

【原料玄米の一部について農産物検査法による証明を受けている場合】
(表示例4)産地、品種又は産年が異なる、産地、品種及び産年の根拠資料を保管していない又は産地、品種及び産年を表示しない原料玄米を2割と、農産物検査法による証明を受けた原料玄米を8割使用した場合であって、その確認方法を表示する場合

原料玄米の一部について農産物検査法による証明を受けている場合

【農産物検査法による証明を受けていない場合】
(表示例6)産地、品種及び産年について根拠資料を保管しており、その確認方法を表示する場合

農産物検査法による証明を受けていない場合

 なお産地、品種及び産年の根拠を確認した方法の表示は、表示内容に責任を有する者が任意で表示することができる表示事項であり、義務表示ではないため、必ず表示しなければならないということではありませんが、消費者の自主的かつ合理的な選択に資する表示事項であることから、表示することが望ましいと考えられています。(食品表示基準Q&A(玄米精米-3))

根拠資料について


 食品表示基準Q&A(玄米精米-19)では、産地、品種及び産年の全部又は一部を表示する場合の根拠を示す資料について、次のように記載されています。

  1. 具体的には、生産段階の資料として、
    1. 農産物検査法による証明を受けたものにあっては、農産物検査証明書(輸入品のうち、輸出国の公的機関等による証明を受けたものにあっては、輸出国の公的機関等による証明書)
    2. 又は

    3. 農産物検査法による証明を受けていないものにあっては、
      1. どのような種苗を用いて生産されたかが分かる資料(種苗の購入記録等)
      2. 及び

      3. 全体の作付状況に対する品種ごとの作付状況が分かる資料(水稲共済細目 書異動申告書、営農計画書、営農日誌等)

    などが考えられます。

  2. また、上記2.の01.又は02.に加え、流通段階の資料として流通実態に応じて、
    1. 原料米穀について、産地、品種又は産年が記載されている規格書、送り状、 納品書、通関証明書(輸入品の場合)等
    2. 及び

    3. 原料米穀を当該製品に使用した実績が分かるもの(調製、精米及び小分けした米についての指示書、原料受払簿、精米記録、とう精台帳、仕様書等)

    などが考えられます。

  3. いずれにしても、製品に使用されている原料米穀について、原料米穀と製品の相互の関係が明らかとなる資料を保管することが必要であり、確実に当該原料米穀についてトレースができない場合は、根拠を示す資料を保管しているとはみなされません。

 これらの表示の根拠を示す資料の保管は、消費者に販売される製品の表示内容に責任を有する者が調製年月日、精米年月日又は輸入年月日から3年間保管する必要がありますが、根拠を示す一部の資料を生産者等が保管しても問題ない場合もありますので、食品表示基準Q&Aをご参照ください。

 また、今回の食品表示基準の一部改正では、「消費者の選択に資する適切な表示事項」の一括表示枠内への表示が可能となりました。こちらは消費者の選択に資する情報であれば、生産者や販売者が創意工夫し、付加価値として消費者に訴求したい情報を一括表示欄に記載できるものです。具体的には、生産者名、保存方法、分つき米である旨、食味を表す分析データ、品評会等での受賞歴など、消費者が商品を選択する上で参考になる情報が考えられます。

 玄米・精米を扱う事業者の方にとって大きな改正と思われますが、表示可能な内容・要件等をご確認いただき、今後の表示についてご検討いただく機会となればと思います。


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齊藤 恵美子
上級食品表示診断士。原材料、添加物の調査から食品表示の作成、チェックまで幅広い実務に従事しています。原材料規格書、配合表の整備などの業務を担当しており、お客様にとってより分かりやすい資料づくりをサポートできるよう取り組んでいます。
趣味はドライブ。