「公正競争規約」の食品表示における位置付けと役割、そしてその遵守について

By | 2020年8月7日
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 食品の優良誤認や有利誤認等の不当な表示を禁止する法令に景品表示法があり、この規定により、事業者又は事業者団体(協議会)が自主的に設定する業界のルールとして「公正競争規約」がありますが、この程、保健機能食品の一つであるいわゆる「特保」と言われる「特定保健用食品」の表示に関し、公正取引委員会と消費者庁は、特定保健用食品(特保)の表示に関する公正競争規約を認定しました。

 身体機能への働きかけや健康維持に関する強調表示は、一つ間違えば優良誤認に繋がってしまい、景品表示法に抵触してしまう可能性もありますが、一般的で抽象的な内容が規定されている景品表示法だけでは、具体的にどの様な表示が認められ、又禁止されているかを判断するのが難しいです。これに対し業界が定める「公正競争規約」ではこれらが具体的に示されています。

 特にその強調表示の遵法性の判断が難しい、これら保健機能食品に対し「公正競争規約」が認定されたことにより、本規約の役割がより明らかになったと考えており、今回は、この「公正競争規約」の食品表示における位置付けと役割、そしてその遵守について触れてみたいと思います。

 まず、「公正競争規約」の目的について見てみましょう。
消費者庁のホームページには以下の通り記載されています。
(以下、掲載文の一部抜粋です。)

「公正競争規約は、その業界の商品特性や取引の実態に即して、広告やカタログに必ず表示すべきことや、特定の表現を表示する場合の基準、景品類の提供制限などを定めており、一般消費者がより良い商品・サービスを安心して選ぶことができる環境作りのための大切な役割を担っています。」
「不当な表示や過大な景品類の提供による競争を防止し、業界大多数の良識を「商慣習」として明文化し、この「商慣習」を自分も守れば他の事業者も守るという保証を与え、とかくエスカレートしがちな不当表示や過大な景品類の提供を未然に防止するというところに公正競争規約制度の目的があります。」

 記載内容を要約しますと、景品表示法の規定に基づき、その製品を取り扱う業界毎に存在する独自の「商習慣」を取り入れ、その業界の商品特性や取引の実態に即して、広告やカタログに必ず表示すべきことや、特定の表現を表示する場合の基準、景品類の提供制限などを定めることにより、エスカレートしがちな不当表示や過大な景品類の提供を未然に防止するのが、「公正競争規約」の目的となります。

 次に「公正競争規約」の定める内容について見てみましょう。こちらについては、消費者庁のホームページには以下の通り記載があります。

  1. 必要な表示事項を定めるもの(原材料名、内容量、賞味期限、製造業者名等の表示を義務付けることなど)
  2. 特定事項の表示の基準を定めるもの(不動産広告の徒歩による所要時間は、80メートルにつき1分の換算で表示することなど)
  3. 特定用語の表示を禁止するもの(加工乳及び乳飲料には、「牛乳」の用語を使用しないことなど)

 こちらに記載されている通り、「公正競争規約」には大まかに言えば、該当する商品について何を表示すべきで、何を表示してはならないかを具体的に定めているということになります。

 ちなみに今回認定された「特定保健用食品」の「公正競争規約」内の施行規則には、例えば容器包装上に記載してはならない不当表示として、

表示許可書又は表示承認書に記載された食品(以下「許可等を受けた食品」という。)に疾病の治癒若しくは予防等の効能効果があるかのように誤認されるおそれ がある表示、又は医薬品であるかのように誤認され、疾病者の適切な治療の機会を 損失させるおそれがある表示

等、関連する食品の内容又は取引条件について一般消費者に誤認されるおそれがある不当表示が17例も例示されています。

 以上が「公正競争規約」に関する説明となりますが、ではこの規約はどの程度法的な拘束力があるのでしょうか。
「公正競争規約」は、事業者又は事業者団体が自主的に設定するルールであることから、規約に参加していない事業者には適用されません。

 従って参加事業者以外、その遵守については任意とはなります。しかしながら、このルールは食品事業者全てが対象の景品表示法に基づく業界ルールであることから、規約への参加の有無に関わらず、本規約を遵守している限り、景品表示法や関係法令上問題とされにくくなると考えます。

 具体的にこの「公正競争規約」は、食品一般には35規約、酒類には7規約が設定されています。食品の強調表示を検討しておられる、あるいは今後検討される皆様におかれましては、関連する食品分類に関する規約の内容を一度改めて確認されてみてはいかがでしょうか。


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亀山 明一
添加物製剤の業界に長く在籍した経験を活かし、添加物の調査業務を中心に、調査結果の英文と日本語との整合性確認業務に従事しています。また原材料の使用基準や食品表示基準などについて、英語でのセミナー講師も担当しています。
趣味は外国文化に触れることと旅行。