栄養強調表示に対する基準値比較(日本・米国・EU)

By | 2019年7月23日
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 世界各国、どこの国の食品のパッケージにおいても、その食品に含まれる栄養成分について、「低カロリー」「低コレステロール」等のキャッチフレーズを目にすることがあると思います。他の国々でも日本と同様に、栄養強調表示の基準を設けています。今回は、日本の食品表示基準において定められている、過剰摂取が問題となりうる栄養成分の「適切な摂取ができる旨」の基準をベースに、米国、EU諸国において定められている栄養強調表示の基準との違いを見てみたいと思います。以下の通り、比較表にしましたので、輸出される食品にこの様な強調表示をご検討されている皆様にはご参考にして頂ければ幸いです。

栄養成分又は熱量の適切な摂取ができる旨の表示の基準値(日本・米国・EUの比較)

栄養成分及び熱量 含まない旨 低い旨 低減された旨
日本
(100gあたり)
米国(注1) EU(注2)
(100gあたり)
日本
(100gあたり)
米国 EU(注2)
(100gあたり)
日本(注3)
(100gあたり)
米国 EU(注2)
(100gあたり)
熱量 5kcal未満 通常消費基準量
(RACC)および表示分量中5kcal未満
4kcal以下
(注4)
40kcal未満 通常消費基準量
(RACC)中40kcal未満(RACCが少量の場合には50g中)
食事および主菜:100gにつき120kcal以下
40kcal以下 40kcal以上 適切な参考食品と比較して通常消費基準量(RACC)中少なくとも25%
(食事および主菜の場合は100gにつき少なくとも25%)
比較される食品間の熱量の30%以上の相対差

表示の際、当該食品の熱量総量を低下させている特性も併せて表示する。

脂質 0.5g未満(注5) 表示1食分量中通常消費基準量(RACC)につき0.5g未満
(食事および主菜の場合には表示1食分量中0.5g未満)
0.5g以下 3g未満 通常消費基準(RACC)中3g以下
(RACCが少量の場合には50gにつき)
食事および主菜:100gにつき3g以下で、脂質由来カロリーが30%未満
3g以下 3g以上 適切な参考食品と比較して通常消費基準量(RACC)中少なくとも25%
または食事および主菜の場合は100gにつき少なくとも25%
比較される食品間の脂質の量の30%以上の相対差
飽和脂肪酸 0.1g未満 通常消費基準量
(RACC)および1食分量中飽和脂肪0.5g未満およびトランス脂肪酸0.5g未満
(食事および主菜の場合には表示1食分量中飽和脂肪0.5g未満およびトランス脂肪酸0.5g未満)
0.1g以下
(但し飽和脂肪酸とトランス脂肪酸の合算量とする)
1.5g未満
ただし、当該食品の熱量のうち飽和脂肪酸に由来するものが当該食品の熱量の10%以下で
あるものに限る。
通常消費基準量
(RACC)中1g以下および飽和脂肪由来カロリーが15%以下
食事および主菜:100gにつき1g以下で飽和脂肪由来カロリーが10%未満
1.5g以下
(但し飽和脂肪酸とトランス脂肪酸の合算量とする)
飽和脂肪酸とトランス脂肪酸による熱量が当該食品に含有する熱量総量の10%を超えないこと。
1.5g以上 適切な参考食品と比較して通常消費基準量(RACC)中少なくとも25%
または食事および主菜の場合は100gにつき少なくとも25%
比較される食品間の飽和脂肪酸とトランス脂肪酸の合算量の30%以上の相対差

トランス脂肪酸の含有量が、比較される食品と同一若しくはそれ以下

コレステロール 5mg未満
ただし、飽和脂肪酸の量が1.5g未満であって当該食品の熱量のうち飽和脂肪酸に由来するものが当該食品の熱量の10%未満のものに限る。
通常消費基準量
(RACC)および表示分量中2mg未満
(または食事および主菜の場合は表示1食分量中2mg未満)
記載なし 20mg未満
ただし、飽和脂肪酸の量が1.5g以下であって当該食品の熱量のうち飽和脂肪酸に由来するものが当該食品の熱量の10%以下のものに限る。
通常消費基準量
(RACC)中20mg以下
(RACCが少量の場合には50gにつき)
食事および主菜:100gにつき20mg以下
記載なし 20mg以上
ただし、飽和脂肪酸の量が当該他の食品に比べて低減された量が1.5g以上のものに限る。
適切な参考食品と比較して通常消費基準量(RACC)中少なくとも25%
または食事および主菜の場合は100gにつき少なくとも25%
記載なし
糖類 0.5g未満 Sugar free:
(無糖)
通常消費基準量
(RACC)および表示分量中0.5g以下
(または食事および主菜の場合は表示1食分量中0.5g未満)
0.5g以下 5g未満 定義なし
使用出来ないことがある。
5g以下 5g以上 適切な参考食品と比較して通常消費基準量(RACC)中少なくとも25%
または食事および主菜の場合は100gにつき少なくとも25%
比較される食品間の糖類の量の30%以上の相対差

該当食品の熱量が、比較される食品と同一若しくはそれ以下

ナトリウム 5mg未満 通常消費基準量
(RACC)および表示分量中5mg未満
(または食事および主菜の場合は表示1食分量中5mg未満)
0.005g以下 120mg未満 通常消費基準量
(RACC)中140mg以下(RACCが少量の場合には50gにつき)
食事および主菜:100gにつき140mg以下
※とても低い旨:
通常消費基準量
(RACC)中35mg以下(RACCが少量の場合には50gにつき)
食事および主菜:100gにつき35mg以下
0.12g以下
(0.04g以下:とても低い旨)
120mg以上 適切な参考食品と比較して通常消費基準量(RACC)中少なくとも25%
または食事および主菜の場合は100gにつき少なくとも25%
比較される食品間のナトリウムの量の25%以上の相対差
  • (注1)米国の「含まない旨」について、脂質、飽和脂肪酸、コレステロール、ナトリウム、糖類については、当該栄養素の強調表示にアスタリスク(*)を付け、「わずかな〇〇が加えられています」という注釈を付ける場合を除き、一切当該栄養素またはこれを含むと思われる成分が含まれていてはなりません。
  • (注2)EUの基準では食品分類によって例外があります。
  • (注3)日本では「低減された旨」を表示する場合、低減された量が上記基準値以上であることに加え、低減された割合について、比較対象品との相対差が25%以上であることが必要です。
  • (注4)熱量については甘味料を除き100ml当たりの基準です。
  • (注5)食品分類により例外があります。

 上記比較表より、日本と大きく異なる点としては、以下の様な内容が確認出来ます。EU、米国どちらも日本より細かな基準が設けられている点については注意が必要ですが、米国の基準についてはより独自性の強いものが多く見られます。

  • 日本とEUでは、概ね100g単位で基準が設けられています(液体は上記以外、100ml単位に基準があります。)が、米国では、別途「RACC(通常消費基準量:当該食品の標準的消費量)」や「食事における主菜100g単位」という独自の単位をベースに基準が設けられている点が大きく異なります。
  • 米国では、日本で基準が設けられている「糖類」の「低い旨」の強調表示に定義がありません。
  • 米国では、飽和脂肪酸の「含まない旨」栄養強調表示について、「トランス脂肪酸」の上限値を設けています。

 又、米国では、上記基準以外にも、魚介類または狩猟肉製品の「脂質」に関する栄養強調表示について、「Lean(脂質分の少ない)」並びに「Extra Lean (脂質分の特に少ない)」を表示する場合の細かな基準が設けられています。(下記FDAウェブページ10. APPENDIX B(10. 付録B)に記載があります。)

 以上、栄養強調表示の「適切な摂取ができる旨」について、日本とEUそして米国の基準の違いをまとめてみて、特に米国の基準の独自性には注目すべきであり、今後、米国向け食品のパッケージ上にこの様な表示を検討される場合は、基準値を満たすことについて、とりわけ十分に確認を行った上で進められるべきと考えます。


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亀山 明一
添加物製剤の業界に長く在籍した経験を活かし、添加物の調査業務を中心に、調査結果の英文と日本語との整合性確認業務に従事しています。また原材料の使用基準や食品表示基準などについて、英語でのセミナー講師も担当しています。
趣味は外国文化に触れることと旅行。