食品添加物表示制度に関する検討会が始まりました

By | 2019年6月7日
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 2019年4月18日、消費者庁は「第1回食品添加物表示制度に関する検討会」を開催しました。国内の食品表示制度においては、「食品表示基準(2015年4月施行(加工食品の経過措置期間は2020年3月末まで))」、「新たな加工食品の原料原産地表示制度(2017年9月施行(経過措置期間は2022年3月末まで))」、「遺伝子組換え表示制度に関する食品表示基準の一部改正(2023年4月施行)」といった改正がされており、これらに続く改正の議論となります。添加物は消費者、事業者とも関心の高い表示事項と考えられますので、こちらに整理してみたいと思います。

食品添加物表示制度の現状


 まずは、検討会資料(「食品添加物表示制度をめぐる事情(消費者庁)」)より、現状の食品表示制度について整理してみたいと思います。

<食品添加物の定義>
添加物とは、食品の製造の過程において又は食品の加工若しくは保存の目的で、食品に添加、混和、浸潤その他の方法によって使用する物 [食品衛生法第4条第2項]

<食品添加物の種類>

食品添加物 指定添加物
455品目(リスト化:施行規則)
安全性と有効性が確認され、国が使用を認めたもの(品目が決められている)
既存添加物
365品目(リスト化:厚労省告示)
我が国において既に使用され、長い食経験があるものについて、例外的に使用が認められている添加物(品目が決められている)
天然香料
基原物質(約600品目例示)
植物、動物から得られる、着香の目的で使用されるもの
一般飲食物添加物
(約100品目例示)
通常、食品として用いられるが、食品添加物として使用されるもの

(添加物の品目数は平成31年3月31日現在)

<食品添加物表示(加工食品)>
原則として、使用した全ての添加物を「物質名※」で食品に表示。(※物質名は、簡略名等を用いることができる。)

表示例:

小麦粉、砂糖、植物油脂(大豆を含む)、鶏卵、アーモンド、バター、異性化液糖、脱脂粉乳、洋酒、でん粉/ソルビトール、膨張剤、香料、乳化剤、着色料(カラメル、カロテン)、酸化防止剤(ビタミンE、ビタミンC)

– 下線:添加物表示部分
– 膨張剤、香料、乳化剤:一括名表示
– 着色料(カラメル、カロテン)、酸化防止剤(ビタミンE、ビタミンC):用途名併記

添加物表示の例外:

一括名で表示可 複数の組合せで効果を発揮することが多く、個々の成分まで全てを表示する必要性が低いと考えられる添加物や、食品中にも常在する成分であるため、一括名で表示しても表示の目的を達成できるために認められている。ただし、消費者庁次長通知において列挙した添加物を、示した定義にかなう用途で用いる場合に限る。
例:飲み下さないガムベース、通常は多くの組合せで使用され添加量が微量である香料、主に調味料として使用されるアミノ酸のように食品中にも常在成分として存在するもの等
イーストフード、ガムベース、かんすい、酵素、光沢剤、香料、酸味料、調味料、豆腐用凝固剤、苦味料、乳化剤、pH調整剤、膨張剤、チューインガム軟化剤
用途名併記 消費者の関心が高い添加物について、使用目的や効果を表示することで、消費者の理解を得やすいと考えられるものは、用途名を併記する。
例:甘味料(サッカリンNa)、着色料(赤色3号)、保存料(ソルビン酸)
甘味料、着色料、保存料、増粘剤(安定剤、ゲル化剤又は糊料)、酸化防止剤、発色剤、漂白剤、防かび剤(防ばい剤)
表示不要 最終食品に残存していない添加物や、残存してもその量が少ないため最終食品に効果を発揮せず期待もされていない添加物等については、表示が不要。 加工助剤、キャリーオーバー、栄養強化の目的で使用※

※特別用途食品、機能性表示食品については表示が必要。また、食品表示基準別表第4で別途定める表示を要する食品もある。

検討会開催の背景


 2015年3月に閣議決定された「消費者基本計画」において、食品表示一元化の検討過程で別途検討すべき課題の1つとされたことが、検討会開催の背景となっています。この検討会に先立ち、消費者庁は①諸外国の食品添加物に関する表示制度、②食品添加物に関する国内事業者の情報発信の状況、③消費者意向調査といった必要な調査を実施しており、これらの調査結果を参考に、食品添加物表示制度についての議論がされることになります。

今後のスケジュール


 今後は関係者(消費者、事業者等)のヒアリングを行い、その後に論点を整理したうえで、報告書の取りまとめに向けた議論がなされる予定です。第2回は2019年5月30日開催です。報告書の取りまとめは2019年度末(2020年3月)、早ければ年末までを目標としたスケジュールとなっています。

 第1回目の内容からの想定にはなりますが、今後、表示方法(一括名、用途名等)については他の表示事項との優先順位を、表示禁止事項については「〇〇無添加」「〇〇不使用」等への使用制限について議論がされるものと思われます。とりわけ、現状において無添加等の表示をされている商品を取り扱う方は、一度この検討会の議論について目を通しておかれるとよいと思います。


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川合 裕之
食品表示検査業をしています。国内と海外向けに、食品表示検査と原材料調査サービスを提供している経験をもとに、食品表示実務に関する講演をしています。

■職歴・経歴
1974年 岡山県生まれ
食品メーカー勤務後、2003年に食品安全研究所(現株式会社ラベルバンク)を設立。
「分かりやすい食品表示」をテーマとし、「食品表示検査・原材料調査」などの品質情報管理サービスを国内から海外まで提供しています。また、定期的に講演活動も行っています。

■主な著作物・寄稿ほか
【共著】
『基礎からわかる 新・食品表示の法律・実務ガイドブック
Food Labeling Law and Practical Guidebook』 (レクシスネクシスジャパン, 2014)
【寄稿】
・2017年~2018年連載 『食品と開発』(UBMジャパン)表示ミスを防ぐための食品表示実務の大切なポイント~
・2014年~連載『季刊シール&ラベル』(日報ビジネス)食品表示にまつわるワンポイントアドバイス
・~2010年連載 『フードプラスワン』(日報アイビー)食品表示ワンポイントレッスン
・~2010年連載 『ヘルスケアマーケットレビュー』(大阪産業創造館)
【講義】
・2009~2014年 東京農業大学生物産業学部 特別講師

■最近の講演実績
・2019年2月22日 食品表示作成・チェックにおける実務上の大切なポイント~アレルゲン、栄養成分、原料原産地表示などを間違えないために~
 公益財団法人 山口県予防保健協会、山口県、一般社団法人 山口県食品衛生協会様主催。
・2019年2月26日 すべての加工食品が対象~原料原産地表示のポイントについて~
 兵庫県指定観光名産品協会様主催。

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