改正食品衛生法が公布されました

By | 2018年7月3日
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 2018年6月13日、食品衛生法等の一部を改正する法律が公布されました。飲食店含むすべての食品事業者にHACCPによる衛生管理の義務化、食品容器包装に使用される物質のポジティブリスト化、特定の成分を含む食品の健康被害情報の届出の義務化など各方面で話題になっていますので、こちらでとりあげてみたいと思います。

改正の背景


 改正の背景は、「食環境の変化」と「国際化」です。前回の食品衛生法の改正から約15年が経過し、世帯構造の変化に伴い、調理食品、外食・中食への需要の増加等の食へのニーズが変化していること、輸入食品の増加など食のグローバル化の進展といった食を取り巻く環境が変化していること。また広域的な食中毒の発生など食品による健康被害への対応や、2020年東京オリンピック・パラリンピックの開催や食品の輸出促進を見据えた、国際標準と整合する食品衛生管理が求められることなどが、改正の背景となっています。

改正の概要


 これらの背景をもとにした改正の趣旨は、「食環境の変化」と「国際化」への対応、ということになります。改正の概要として公表されているものは、以下のとおりです。

  1. 広域的な食中毒事案への対策強化
  2. 国や都道府県等が、広域的な食中毒事案の発生や拡大防止等のため、相互に連携や協力を行うこととするとともに、厚生労働大臣が、関係者で構成する広域連携協議会を設置し、緊急を要する場合には、当該協議会を活用し、対応に努めることとする。

  3. HACCP(ハサップ)*に沿った衛生管理の制度化
  4. 原則として、すべての食品等事業者に、一般衛生管理に加え、HACCPに沿った衛生管理の実施を求める。ただし、規模や業種等を考慮した一定の営業者については、取り扱う食品の特性等に応じた衛生管理とする。

  5. 特別の注意を必要とする成分等を含む食品による健康被害情報の収集
  6. 健康被害の発生を未然に防止する見地から、特別の注意を必要とする成分等を含む食品について、事業者から行政への健康被害情報の届出を求める。

  7. 国際整合的な食品用器具・容器包装の衛生規制の整備
  8. 食品用器具・容器包装について、安全性を評価した物質のみ使用可能とするポジティブリスト制度の導入等を行う。

  9. 営業許可制度の見直し、営業届出制度の創設
  10. 実態に応じた営業許可業種への見直しや、現行の営業許可業種(政令で定める34業種)以外の事業者の届出制の創設を行う。

  11. 食品リコール情報の報告制度の創設
  12. 営業者が自主回収を行う場合に、自治体へ報告する仕組みの構築を行う。

  13. その他(乳製品・水産食品の衛生証明書の添付等の輸入要件化、自治体等の食品輸出関係事務に係る規定の創設等)

*HACCP(ハサップ)・・・ 事業者が食中毒菌汚染等の危害要因を把握した上で、原材料の入荷から製品出荷までの全工程の中で、危害要因を除去低減させるために特に重要な工程を管理し、安全性を確保する衛生管理手法。先進国を中心に義務化が進められている。

「特別の注意を必要とする成分等を含む食品」について


 これらの改正点のなかで、食品表示担当者の業務に直接的に影響があるものをあげるとすれば、おそらく「3.特別の注意を必要とする成分等を含む食品による健康被害情報の収集」であると思われますが、取扱商品が「健康食品」である場合に限られると考えてよいと思います。

 ただ、「特別の注意を必要とする成分等」は現時点では定められてないことから、念のために今後の発表に注視する必要がある改正点と言えるでしょう。以下に、対象となる食品についての記載を引用します。

「特別の注意を必要とするものとして厚生労働大臣が指定する成分等を含有する食品」

健康被害情報や文献等による生理活性情報を科学的な観点で整理し、薬事・食品衛生審議会や食品安全委員会における専門家の意見を聴き、パブリックコメント等を行った上で、特別の注意を必要とする成分等の指定を行う。
(検討対象となる成分等の例:アルカロイドやホルモン様作用成分のうち、一定以上の量の摂取により健康被害が生じるおそれのある成分等)

輸入食品と輸出食品について


  「7.その他(乳製品・水産食品の衛生証明書の添付等の輸入要件化、自治体等の食品輸出関係事務に係る規定の創設等)」の改正により、今後は輸入と輸出の両面で衛生管理体制が強化されることになります。

【輸入】
輸出国において検査や管理が適切に行われた旨を確認し、輸入食品の安全性を確保するため、HACCPに基づく衛生管理や乳製品・水産食品の衛生証明書の添付を輸入要件化する。

  • 一部の食品にHACCPに基づく衛生管理を輸入要件とする
  • 衛生証明書の添付義務対象食品に、乳、乳製品を追加する(これまでは肉、臓器、食肉製品のみ)
  • 衛生証明書の添付義務を法定化する(フグ、生食用カキを想定)

【輸出】
輸出先国の衛生要件を満たすことを示すため、国・自治体における衛生証明書の発行等の食品輸出関連事務の法規定を創設する。

 海外への輸出について各国と協議を進めるうえで、国際標準と同等の水準の衛生管理体制を構築しておくことが必要となるための改正と思われますので、今後輸出を検討される方は今回の改正(とりわけHACCPに基づく衛生管理)について、確認されておかれるとよいと思います。

今後について


 施行は、「公布の日から起算して2年を超えない範囲内において政令で定める日(ただし、1.は1年、5.及び6.は3年)」とされています。食品表示だけでなく品質保証全般を業務とされている方は、改正内容について一度目を通しておかれるとよいと思います。 

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川合 裕之
食品表示検査業をしています。国内と海外向けに、食品表示検査と原材料調査サービスを提供している経験をもとに、食品表示実務に関する講演をしています。

■職歴・経歴
1974年 岡山県生まれ
食品メーカー勤務後、2003年に食品安全研究所(現株式会社ラベルバンク)を設立。
「分かりやすい食品表示」をテーマとし、「食品表示検査・原材料調査」などの品質情報管理サービスを国内から海外まで提供しています。また、定期的に講演活動も行っています。

■主な著作物・寄稿ほか
【共著】
『基礎からわかる 新・食品表示の法律・実務ガイドブック
Food Labeling Law and Practical Guidebook』 (レクシスネクシスジャパン, 2014)
【寄稿】
・2017年~2018年連載 『食品と開発』(UBMジャパン)表示ミスを防ぐための食品表示実務の大切なポイント~
・2014年~連載『季刊シール&ラベル』(日報ビジネス)食品表示にまつわるワンポイントアドバイス
・~2010年連載 『フードプラスワン』(日報アイビー)食品表示ワンポイントレッスン
・~2010年連載 『ヘルスケアマーケットレビュー』(大阪産業創造館)
【講義】
・2009~2014年 東京農業大学生物産業学部 特別講師

■最近の講演実績
・2018年11月8日 食品表示法に基づく栄養成分表示について
 栃木県観光土産品公正取引協議会・宇都宮商工会議所様主催。
・2018年9月26日 食品表示~表示の目的と役割、表示相談~
 (公財)かがわ産業支援財団様主催。

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川合 裕之

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