食品表示の仕事について

By | 2016年5月6日
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 4月も終わり、5月になりました。毎年このまま暖かい春が続けばいいなと思うのですが、だんだんと暑くなってきているあたり、やはり今年も暑くなるのかなと思う今日この頃です。そんな年度初めには、いろいろな仕事の入れ替わり、人の入れ替わりがあることと思います。私も初心を忘れないよう、今回のコラムは「食品表示の仕事について」、まとめてみようと思います。

「正しい表示」とは


 まずは仕事の目的ですが、やはり「正しい表示のため」と思います。では、正しい表示とはどんなものを指すのでしょうか。いろいろな考え方があると思いますが、私はいつも以下の2つが大切だと考えています。

 1.基準(表示事項、表示方法等)に従った表示内容であること
 2.表示内容と実際の内容との整合性がとれていること

 このうち1の基準や規則に関することは、知識と経験によってカバーしやすいものです。問題は2のほうであり、また食品の本質として大事なのも2のほうだと思います。そして2の確認業務は、どれほど機械化を進めたとしても、知識や経験でカバーできる度合いはそれほど高くないのが実情かと思います。最終的には人間の目で1つ1つ確認していくことから、思い込みによる見落とし、コピーミス、改版時の書類の先祖返りなどいろいろなことが起こります。
 実際のミスの裏側というのは、気づいてしまえば驚くほど単純な原因によるものが多いものです。このように、正しい表示のための仕事のなかで、「整合性の確認」という業務のもつ重要度は、非常に大きなものであると言えると思います。

いろいろな立場と食品表示


 整合性確認の業務と言っても、会社の業種による違い、取扱商品の幅による違い、役割分担による違いなどで様々あります。例を挙げてみるとこのような感じです。

 A.原材料(添加物含む)について、使用基準や規格基準等との整合性を確認する仕事
 B.強調表示などについて、分析資料や試験結果等との整合性を確認する仕事
 C.原材料規格書と配合時の計算資料、表示案との整合性を確認する仕事
   またその手順について、多様な商品間での整合性を確認する仕事

 Aは、使用可否の確認をすることになりますので、回収や廃棄などにならないよう気を遣う仕事だと思います。Bは不当表示をせず、適切な表示をするためには不可欠な役割と言えます。Cは基本的な確認業務です。とはいえ加工食品の場合の原材料数は100行以上あるものも多く、またそれぞれに確認項目が5列以上あり、課題発見時の判断も発生するなど、簡単に考えてよい業務ではないと思います。
 そしてどの仕事にも共通して言えるのは、「ミスをしないで当たり前」という役割があることです。多くすることでもなく、早くすることでもなく、決められた確認手順をキッチリ守って業務を進めるという、そんな仕事であると思います。

基本は「規格書」の情報管理


 このように原点に戻って仕事の重要性を考えると、やはり食品表示の仕事の基本は「規格書(原材料規格書、製品の原材料配合表等)」にあると言えます。食品表示は規格書をもとに作成されるからであり、規格書に間違いがあれば表示もまた間違ってしまうためです。
 規格書の確認で間違いを起こさないためのポイントはいろいろあると思いますが、やはり基本は「整理整頓」だと思います。どのように適切に情報を管理するか、ということです。素早く正確に問題を把握するときに、情報が適切な状態で整理されていることはとても大事なことだと思います。
 そんな仕事環境をいかに継続的に作り上げていくか、ということが、食品表示の仕事をする私自身にも大切なことではないかと思い、今回、年度初めにあたってまとめてみました。どんな仕事でもそうだと思いますが、今よりよくしていこうと考える機会を、定期的にもつことは大事なのかもしれないですね。それでは、今月も頑張っていきたいと思います。

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川合 裕之
食品表示検査業をしています。国内と海外向けに、食品表示検査と原材料調査サービスを提供している経験をもとに、食品表示実務に関する講演をしています。

■職歴・経歴
1974年 岡山県生まれ
食品メーカー勤務後、2003年に食品安全研究所(現株式会社ラベルバンク)を設立。
「分かりやすい食品表示」をテーマとし、「食品表示検査・原材料調査」などの品質情報管理サービスを国内から海外まで提供しています。また、定期的に講演活動も行っています。

■主な著作物・寄稿ほか
【共著】
『新訂版 基礎からわかる食品表示の法律・実務ガイドブック』 (第一法規株式会社, 2019)
【寄稿】
・2017年~2018年連載 『食品と開発』(UBMジャパン)表示ミスを防ぐための食品表示実務の大切なポイント~
・2014年~連載『季刊シール&ラベル』(日報ビジネス)食品表示にまつわるワンポイントアドバイス
・~2010年連載 『フードプラスワン』(日報アイビー)食品表示ワンポイントレッスン
・~2010年連載 『ヘルスケアマーケットレビュー』(大阪産業創造館)
【講義】
・2009~2014年 東京農業大学生物産業学部 特別講師

■最近の講演実績
・2019年9月10日 新しい食品表示基準への対応と実務上の大切なポイント~添加物、アレルギー、栄養成分、原料原産地を中心に~
 山口県商工会連合会様主催。
・2019年7月10日、7月11日 食品表示基準に基づいた実務の重要なポイント
 奈良県観光土産品公正取引協議会様主催。
・2019年6月18日 輸出入食品における食品添加物の徹底研究~主要各国の食品添加物制度の調査と実務上のポイントについて~
 品質保証研究会様主催。
・2019年5月13日 新食品表示制度の基本~配合表を見ながら考える、新基準表示のチェックポイント~
 日報ビジネス株式会社様主催。
・2019年4月19日 表示ミスを防ぐための食品表示実務の大切なポイント
 日本食糧新聞社様主催。
・2019年2月26日 すべての加工食品が対象~原料原産地表示のポイントについて~
 兵庫県指定観光名産品協会様主催。
・2019年2月22日 食品表示作成・チェックにおける実務上の大切なポイント~アレルゲン、栄養成分、原料原産地表示などを間違えないために~
 公益財団法人 山口県予防保健協会、山口県、一般社団法人 山口県食品衛生協会様主催。

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