優良誤認表示の防止と公正競争規約について

By | 2016年3月31日
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今年4月1日に、いわゆる「改正景品表示法」(不当景品類及び不当表示防止法の一部を改正する法律)が施行されます。不当表示に対して新しく課徴金のことを定めたもので、食品業界のなかでは主に健康食品を扱う事業者、また外食事業者の間で話題になっていると思います。そしてこのコラムは、「改正景品表示法のことは知っているけど、公正競争規約のことは知らない」といった方に向け、基本的な情報をまとめたものです。

「優良誤認表示に該当しない表示」


課徴金に関する一連の発表のなかに、「課徴金納付命令の基本的要件に関する考え方」という資料があります。
優良誤認表示、有利誤認表示とは何か、課徴金対象行為とは何かについて考え方をまとめてある資料ですが、その中の一部を引用してみます。

課徴金対象行為とは、優良・有利誤認表示をする行為である。したがって、例えば、事業者が、「公正競争規約」に沿った表示など、優良・有利誤認表示に該当しない表示をした場合には、課徴金対象行為は 成立せず、課徴金の納付を命ずることはない。(P4)

事業者が、公正競争規約に沿った表示のように優良・有利誤認表示に該当しない表示をした場合等、 課徴金対象行為が成立しないときは、当該事業者について、「相当の注意を怠った者でないと認められる」か否かを判断するまでもなく、課徴金の納付を命ずることはない。(P16)

取り扱いの商品に該当する公正競争規約があるなど、すでに食品表示業務において確認フローに組み込まれている方にとっては「当たり前」のことかもしれませんが、一言で言えば、「公正競争規約に沿った表示をすれば、優良誤認表示に該当することはない」ということです。

公正競争規約とは


公正競争規約(景品表示法第11条に基づく協定又は規約)とは,景品表示法第11条の規定により,消費者庁長官及び公正取引委員会の認定を受けて、事業者又は事業者団体が表示又は景品類に関する事項について自主的に設定する業界のルールです。(消費者庁より) 公正競争規約を知らない方も多いのは、食品表示基準と異なり、すべての食品を対象としたものではない点があげられると思います。マーガリンなどの食品、飲用乳などの飲料、チョコレートなどの菓子、ビールなど酒類など含めると40種類強の公正競争規約があるのですが、一覧については下記参照ページから確認してみてください。

例えば「チョコレート類の公正競争規約」では、次のような基準を設けています。

チョコレート生地
カカオ分が全重量の35%以上(ココアバターが全重量の18%以上)であって、 水分が全重量の3%以下のもの(ただし、カカオ分が全重量の21%を下らず (ココアバターが全重量の18%以上)、かつ、カカオ分と乳固形分の合計が全重量の35%を下らない範囲内(乳脂肪が全重量の3%以上)で、カカオ分の代わりに、乳固形分を使用することができる。)

不当表示の禁止
第4条第1項第3号に掲げる基準に適合しないチョコレート又はチョコレート菓子について、「生」の文言を使用することにより、当該商品の品質が他の商品より特に優良であるかのように誤認されるおそれがある表示
第4条第2項第4号から第6号の規定に基づきチョコレート類に果物類の香料を使用している旨を表示している場合であっても、あたかも果物類そのものを使用しているかのように誤認されるおそれがある表示

公正競争規約と食品表示基準

このように、食品表示基準のような様式で、「定義」「原材料名」「禁止表示」などを個別に定めてあります。特にチョコレート類は、食品表示基準において個別の定義がされている食品ではないため、多くの事業者が食品表示を確認する際の実質の基準にしているといってよいでしょう。食品群別に、食品表示基準との関係をまとめると、下記のようになります。

食品表示基準に個別の定義(基準)がある 公正競争規約がある
調理冷凍食品、ジャム、乾燥スープ等 ×
果実飲料、ドレッシング、ハム等
チョコレート、ビスケット、コーヒー等 ×
健康食品等(ローヤルゼリーを除く) ×(外食は対象外) ×

冒頭の「優良誤認表示」に該当しないようにするためには、公正競争規約に沿った表示をすればよいということになりますが、難しいのは「食品表示基準での個別の定義も、公正競争規約も両方存在しない」食品の場合です。新しい原料素材、新しい製法などによる新しい食品分類は、研究や技術革新によって今後も増えていくと思われます。

このように新しい食品分類を取り扱う方や、既存の食品分類に対応するものない場合は、表示しようとする内容について基準を定めたものが他の食品分類にないか、この機会にひととおり確認されてみるとよいと思います。

参照:
不当景品類及び不当表示防止法第8条 (課徴金納付命令の基本的要件)に関する考え方
http://www.caa.go.jp/representation/pdf/160208premiums_3.pdf
表示に関する公正競争規約
http://www.jfftc.org/rule_kiyaku/kiyaku_hyoji.html

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川合 裕之
食品表示検査業をしています。国内と海外向けに、食品表示検査と原材料調査サービスを提供している経験をもとに、食品表示実務に関する講演をしています。

■職歴・経歴
1974年 岡山県生まれ
食品メーカー勤務後、2003年に食品安全研究所(現株式会社ラベルバンク)を設立。
「分かりやすい食品表示」をテーマとし、「食品表示検査・原材料調査」などの品質情報管理サービスを国内から海外まで提供しています。また、定期的に講演活動も行っています。

■主な著作物・寄稿ほか
【共著】
『基礎からわかる 新・食品表示の法律・実務ガイドブック
Food Labeling Law and Practical Guidebook』 (レクシスネクシスジャパン, 2014)
【寄稿】
・2017年~2018年連載 『食品と開発』(UBMジャパン)表示ミスを防ぐための食品表示実務の大切なポイント~
・2014年~連載『季刊シール&ラベル』(日報ビジネス)食品表示にまつわるワンポイントアドバイス
・~2010年連載 『フードプラスワン』(日報アイビー)食品表示ワンポイントレッスン
・~2010年連載 『ヘルスケアマーケットレビュー』(大阪産業創造館)
【講義】
・2009~2014年 東京農業大学生物産業学部 特別講師

■最近の講演実績
・2019年2月22日 食品表示作成・チェックにおける実務上の大切なポイント~アレルゲン、栄養成分、原料原産地表示などを間違えないために~
 公益財団法人 山口県予防保健協会、山口県、一般社団法人 山口県食品衛生協会様主催。
・2019年2月26日 すべての加工食品が対象~原料原産地表示のポイントについて~
 兵庫県指定観光名産品協会様主催。

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