Author Archives: 川合 裕之

川合 裕之

About 川合 裕之

食品表示検査業をしています。国内と海外向けに、食品表示検査と原材料調査サービスを提供している経験をもとに、食品表示実務に関する講演をしています。

■職歴・経歴
1974年 岡山県生まれ
食品メーカー勤務後、2003年に食品安全研究所(現株式会社ラベルバンク)を設立。
「分かりやすい食品表示」をテーマとし、「食品表示検査・原材料調査」などの品質情報管理サービスを国内から海外まで提供しています。また、定期的に講演活動も行っています。

■主な著作物・寄稿ほか
【共著】
『新訂版 基礎からわかる食品表示の法律・実務ガイドブック』 (第一法規株式会社, 2019)
【寄稿】
・2017年~2018年連載 『食品と開発』(UBMジャパン)表示ミスを防ぐための食品表示実務の大切なポイント~
・2014年~連載『季刊シール&ラベル』(日報ビジネス)食品表示にまつわるワンポイントアドバイス
・~2010年連載 『フードプラスワン』(日報アイビー)食品表示ワンポイントレッスン
・~2010年連載 『ヘルスケアマーケットレビュー』(大阪産業創造館)
【講義】
・2009~2014年 東京農業大学生物産業学部 特別講師

■最近の講演実績
・2020年9月17日 表示ミスを防ぐための食品表示実務のポイント~消費者の健康と安全・安心を守ろう~
 越谷市 保健医療部 保健所 生活衛生課様主催。
・2019年9月10日 新しい食品表示基準への対応と実務上の大切なポイント~添加物、アレルギー、栄養成分、原料原産地を中心に~
 山口県商工会連合会様主催。
・2019年7月10日、7月11日 食品表示基準に基づいた実務の重要なポイント
 奈良県観光土産品公正取引協議会様主催。
・2019年6月18日 輸出入食品における食品添加物の徹底研究~主要各国の食品添加物制度の調査と実務上のポイントについて~
 品質保証研究会様主催。
・2019年5月13日 新食品表示制度の基本~配合表を見ながら考える、新基準表示のチェックポイント~
 日報ビジネス株式会社様主催。
・2019年4月19日 表示ミスを防ぐための食品表示実務の大切なポイント  日本食糧新聞社様主催。
・2019年2月26日 すべての加工食品が対象~原料原産地表示のポイントについて~
 兵庫県指定観光名産品協会様主催。
・2019年2月22日 食品表示作成・チェックにおける実務上の大切なポイント~アレルゲン、栄養成分、原料原産地表示などを間違えないために~  公益財団法人 山口県予防保健協会、山口県、一般社団法人 山口県食品衛生協会様主催。

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特定保健用食品制度(疾病リスク低減表示)に関する検討会が始まりました

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 今月は、特定保健用食品制度の見直しに関するニュースを取り上げたいと思います。昨年末の2020年12月25日に第1回目の、今年1月22日に第2回目の「特定保健用食品制度(疾病リスク低減表示)に関する検討会」(以下「検討会」)が、消費者庁において開催されました。

検討会の背景


 特定保健用食品の疾病リスク低減表示は、平成17年(2005年)よりカルシウム及び葉酸の基準を設定し、運用されています。一方で、その運用については、制度開始以降、これまで特段の見直しは行われておりません。
 このため、消費者庁において検討会を開催し、疾病リスク低減表示の今後の運用について諸外国の状況も踏まえつつ、専門家から幅広く意見を伺い、検討を行うこととされました。

特定保健用食品(疾病リスク低減表示)とは


 まずは特定保健用食品の分類についてですが、以下のとおりに整理されています。

「特定保健用食品」:
食生活において特定の保健の目的で摂取をする者に対し、その摂取により当該保健の目的が期待できる旨の表示をする食品
「特定保健用食品(疾病リスク低減表示)」
関与成分の疾病リスク低減効果が医学的・栄養学的に確立されている場合、疾病リスク低減表示を認める特定保健用食品
(現在は関与成分としてカルシウム及び葉酸がある)
「特定保健用食品(規格基準型)」:
特定保健用食品としての許可実績が十分であるなど科学的根拠が蓄積されている関与成分について規格基準を定め、消費者委員会の個別審査なく、消費者庁において規格基準への適合性を審査し許可する特定保健用食品
「特定保健用食品(再許可等)」:
既に許可を受けている食品について、商品名や風味等の軽微な変更等をした特定保健用食品
「条件付き特定保健用食品」:
特定保健用食品の審査で要求している有効性の科学的根拠のレベルには届かないものの、一定の有効性が確認される食品を、限定的な科学的根拠である旨の表示をすることを条件として許可する特定保健用食品

 今回の検討会での審議の対象は、上から2番目の「特定保健用食品(疾病リスク低減表示)」です。「疾病リスク低減表示」の表示基準は、以下のとおりです。

関与成分 特定の保健の用途に
係る表示
摂取する上での
注意事項
一日摂取目安量の下限値 一日摂取目安量の上限値
カルシウム
(食品添加物公定書等に定められたもの又は食品等として人が摂取してきた経験が十分に存在するものに由来するもの)
この食品はカルシウムを豊富に含みます。日頃の運動と適切な量のカルシウムを含む健康的な食事は、若い女性が健全な骨の健康を維持し、歳をとってからの骨粗鬆症になるリスクを低減するかもしれません。 一般に疾病は様々な要因に起因するものであり、カルシウムを過剰に摂取しても骨粗鬆症になるリスクがなくなるわけではありません。 300mg

700mg

葉酸
(プテロイルモノグルタミン酸)
この食品は葉酸を豊富に含みます。適切な量の葉酸を含む健康的な食事は、女性にとって、二分脊椎などの神経管閉鎖障害を持つ子どもが生まれるリスクを低減するかもしれません。 一般に疾病は様々な要因に起因するものであり、葉酸を過剰に摂取しても神経管閉鎖障害を持つ子どもが生まれるリスクがなくなるわけではありません。 400µg

1,000µg

 「疾病リスク低減表示」の許可件数は、30件です(失効済みの品目を除く)。内訳はカルシウムが30件、葉酸は0件です。なお検討会の資料によると、特定保健用食品全体の許可件数1,075件、機能性表示食品の届出公表件数は3,168件とされています。

主な論点


 検討会の主な論点(案)は、以下のとおりです。

  1. 米国、カナダ、EUで認められている疾病リスク低減表示を踏まえた検討
  2. 許可文言の柔軟性
  3. 表示の内容等の基準が定められていない 疾病リスク低減表示の申請
  4. その他(先行申請者の権利保護)

 現状の「疾病リスク低減表示」において許可されている関与成分は、先述のカルシウム(骨粗鬆症のリスク低減可能性)と葉酸(神経管閉鎖障害のリスク低減可能性)の2つのみです。検討会では、諸外国で認められている疾病リスク低減表示を参考に、対象の拡充や許可文言の柔軟性について審議がなされる見込みです。

<米国・カナダ・EUで認められている疾病リスク低減表示の例>

表現の内容 表示が認められている国・地域
(△は類似の表示が認められている場合)
米国 カナダ EU
1.摂取量を減らすことによる表示      
ナトリウムと高血圧  
飽和脂肪、コレステロールと冠状動脈性心疾患
食事性脂肪とがん    
2.現行のトクホ(疾病リスク低減表示)制度に沿った表示      
カルシウム、ビタミンDと骨粗しょう症  
ビタミンDと転倒    
3-1.既許可のトクホに類似の表示(疾病リスクを低減する旨の直接的な表示)      
非う蝕性糖質甘味料と虫歯
フッ素添加水と虫歯    
3-2.既許可のトクホに類似の表示(疾病の代替指標の取扱い)      
特定の食品由来の水溶性食物繊維と冠状動脈性心疾患  
大豆たんぱく質と冠状動脈性心疾患    
植物ステロールエステル、スタノールエステルと冠状動脈性心疾患  
4.対象成分が限定されていない表示      
食物繊維を含む穀物製品、果物、野菜とがん    
果物、野菜とがん  
果物、野菜と冠状動脈性心疾患  

今後の予定


 第3回目の検討会は3月に行われる予定で、そこで今後の運用の方向性の取りまとめがなされる見込みです。その際に、例えば「新たな関与成分について基準を設定する」等の対応が必要と判断された場合は、4月以降に具体的な検討が行われる予定です。とりわけ健康に関する表示をされている食品を取り扱いの方は、議事資料に一度目を通しておかれるとよいと思います。


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2020年の主な食品表示ニュースと今後の予定

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 あけましておめでとうございます。本年もどうぞお付き合いのほどよろしくお願いいたします。
 年初にあたり、まずは昨年に起きた食品表示に関するニュースと、今後の予定について整理してみました。昨年は新型コロナ感染症に関する話題が多かったと思いますが、ここでは食品表示関連の話題について改めて確認する機会にできればと思います。

昨年の主なニュース


 食品表示に関する実務を進めるうえで大きな話題となったのは、添加物の表示の見直しのため、2020年7月に食品表示基準から「人工」「合成」の用語が削除されたことかと思います。主に「食品表示基準」を中心に、関連する基準等の改正とその概要についてこちらに整理してみました。

2020年 3月24日 「機能性表示食品に対する食品表示等関係法令に基づく事後的規制(事後チェック)の透明性の確保等に関する指針」公表※1
3月27日 食品表示基準の一部改正(「指定成分含有食品※2」等の追加)
3月31日 「食品表示基準」の経過措置期間(加工食品、添加物)(製造所固有記号)終了
3月31日 「食品添加物表示制度に関する検討会報告書」公表※3
7月16日 食品表示基準の一部改正(「魚介類の名称のガイドライン」の一部改正※4、「人工」「合成」の用語の削除※5、「有機畜産物の日本農林規格」の追加※6、等)
8月21日 「特定保健用食品の表示に関する公正競争規約及び同施行規則」施行※7
10月14日 「玄米及び精米の食品表示制度の改正(案)」のパブリックコメント募集※8
※1.事業者の予見可能性を高めるため、主に「科学的根拠」と「広告表示」について具体的な基準を示したもの。
※2.「コレウス・フォルスコリー」、「ドオウレン」、「プエラリア・ミリフィカ」、「ブラックコホシュ」の4成分が対象。
※3.「人工」「合成」の用語は削除とした。「無添加」、「不使用」等は、新たにガイドラインが策定される予定。
※4.同時に「魚介類の名称のガイドラインに係る魚類の新標準和名の提唱手順」を公表。
※5.第3条第1項の表(着色料)、別表第6(甘味料、着色料、保存料)、別表第7(香料)を改正。
※6.有機畜産物、有機畜産物加工食品についても第三者認証を受け有機JASマークを付すことが必要。
※7.「容器包装以外の表示」(広告等の表示)についても「必要」「推奨」「任意」表示事項を規定している。
※8.農産物検査規格の見直しに伴う改正案。意見募集後(11月18日、12月17日)の審議中。

 その他、「食品表示基準について(通知)」については1月15日、3月27日、6月18日、7月16日、11月30日に第18~22次改正が、「食品表示基準Q&A」については3月27日に第10次改正、7月16日に第11次改正が行われています。

 また3月から4月にかけて、新型コロナウイルス感染症を背景に、食品表示制度に関しての弾力的な運用に関する通知も発表されました。(「新型コロナウイルス感染症の拡大を受けた食品表示法に基づく食品表示基準の弾力的運用について」「(同)米トレーサビリティ法の弾力的運用について」「(同)製造所等及び製造所固有記号の表示の運用について」等)

今後の予定


 最後に、今後数年の間に予定されている表示関連情報をまとめてみました。

2021年6月1日 「食品表示法の一部を改正する法律」の施行期日(自主回収報告の義務化)
2021年7月1日 「玄米及び精米の食品表示制度の改正」の施行予定
2022年3月31日 新たな原料原産地表示制度 経過措置期間終了
未定 「くるみ」のアレルゲン義務表示品目への移行予定
「無添加」、「不使用」等の表示に関するガイドラインの策定
栄養強化目的の添加物についての実態調査実施(原則全ての加工食品に表示させる方向)

 昨年は新型コロナ感染症とその影響に関する話題が多くを占めた年でした。今年は少なくとも、昨年よりは明るい話題が増えるよう願っています。


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農産物検査規格の見直しに伴う「玄米及び精米の食品表示制度の改正(案)」について

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 玄米及び精米の食品表示制度が、今後改正される見込みです。2020年10月14日~11月15日の期間、パブリックコメントの募集がなされました。また10月27日および11月18日に、消費者委員会食品表示部会において審議がなされています。以下に、主な改正点とその背景、今後の予定について整理してみたいと思います。

主な改正のポイント


  1. 玄米及び精米の表示に関して、現行、農産物検査による証明を受けている場合のみ、産地、品種及び産年の表示が可能であるところ、農産物検査による証明を受けていない場合であっても、産地、品種及び産年の表示を可能とすること
  2. 産地、品種及び産年の表示の根拠となる資料の保管を義務付けること
  3. 産地、品種、産年等の表示事項の根拠を確認した方法の表示を可能とすること

参照:「食品表示基準の一部改正案に関する意見募集について(消費者庁)令和2年10月14日」より

改正の背景


 規制改革実施計画(令和2年7月17日閣議決定)において、「農産物検査規格の見直し」が対象とされ、玄米及び精米について農産物検査を要件とする食品表示制度の見直しを行うこととされたことが直接の背景です。
 規制改革実施計画は、2016年より推進されてきた「農業競争力強化プログラム(農林水産省)」における「農産物規格・検査の見直し」の状況や、2020年1月に提出された「農産物(米)規格・検査に関する意見(公益社団法人 日本農業法人協会)」等をもとに、「規制改革推進会議 農林水産ワーキング・グループ」において検討されたものです。

規制改革実施計画(令和2年7月17日閣議決定)(抜粋)

産地、品種、産年などの食品表示
食品表示基準上、検査米、未検査米双方を対象に表示義務のある産地に加え、品種、産年、生産者、検査・品質確認を行った者などの一定の事実情報の任意表示を可能とする(例:品質確認 JA〇〇(登録検査機関名)、品質確認 〇〇ライス(農業者名))。農産物検査済みのものについては、「農産物検査証明による」旨の表示ができるようにするとともに、農産物検査を受検しない場合についてその旨の表示を義務付けることはしない。
また、根拠が不確かな表示がなされた米が流通することを排除し、消費者の信頼を損ねるようなことがないようにするため、検査や取引に関する記録の保存方法など必要な措置は食品表示基準等やその運用で担保する。
以上のことを、消費者委員会の意見も踏まえ、結論を得る。

現行と改正案の違い


 現行との比較については消費者庁の資料が分かりやすいので、こちらに引用いたします。

玄米及び精米に関する表示の改正について

規制改革実施計画を踏まえ、①農産物検査による証明を受けていない場合であっても産地、品種及び産年の表示を可能とし、②一方で、根拠が不確かな表示がなされた米の流通を排除し、消費者の信頼を損ねるようなことがないようにするため、産地、品種、産年の根拠を示す資料の保管を義務付け、③農産物検査証明による等、表示事項の根拠の確認方法の表示を可能とするとともに、④生産者名等、消費者が食品を選択する上で適切な情報は、枠内への表示を可能とするため、基準第23条、別表第24及び別記様式4の改正を行う。

引用:食品表示基準の一部改正について 令和2年10月 消費者庁食品表示企画課

食品表示基準の改正による単一原料米の表示事項の変更点
(※画像をクリックすると拡大画像をご覧いただけます。)

引用:補足説明資料 令和2年11月 消費者庁食品表示企画課

今後の予定


 消費者委員会食品表示部会による諮問・答申を経て、2021年3月31日までに公布、2021年7月1日に施行予定とされており、令和3年(2021年)産米から改正後の規定で表示可能になる見込みです。玄米や精米だけでなく、米を主な原材料とする食品を取り扱いの方は、改正点について確認をされておくとよいと思います。


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日本の「健康」に関する食品表示制度について~台湾は2022年7月より一般食品の商品名に「健康」の表示が禁止に~

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 少し前になりますが、今年8月に興味深いニュースが台湾にて発表されました。台湾衛生福利部食品薬物管理署(Taiwan Food and Drug Administration: TFDA)の発表によると、「一般食品の商品名に“健康”と表示することは禁止」されることになるようです。施行は2022年7月1日からです。以下に発表の本文を引用します。

 TFDAは、消費者が「健康」という強調表示をされた食品について、消費者に商品がより健康的なイメージを誤解することを防ぐために、「食品および関連商品において、誤解または医薬品的効能効果を標ぼうするなど事実でない、または誇張される広告表示の認定基準」の第4および第6の規定を修正すると発表しました。
 修正後、検査および登録され、または免許を取得した健康食品を除いて、消費者に一般食品と誤解されることを避けるために、商品名の一部としても「健康」という言葉を使用してはならないことを規定しています。
 TFDAは、この規制が2022年7月1日以降製造される製品分から有効になるため、今後上記規定を満たしていないと判明した場合は、食品安全衛生管理法第28条および同条に違反するとみなし、第45条の法令より台湾ドル4万から400万の罰金を科します。
同法の第52条によって、包装食品は期限内に回収および修正されるものとします。

出典:台湾衛生福利部食品薬物管理署(TFDA)(日本語訳は弊社による)

 台湾には「健康食品管理制度」があり、TFDAの認可(個別審査または規格基準審査)を受けた食品を「健康食品」と呼びます。ちょうど、日本の「トクホ(特定保健用食品)」にあたると考えると分かりやすいと思います。(※ただし日本ではトクホなどの保健機能食品ではない健康食品を「いわゆる健康食品」と呼びます。)
 そして台湾における一般食品とは、「(TFDAに)健康食品として認可を得たものではない食品」を指します。つまり今回の発表を日本に当てはめてイメージするとすれば、「トクホなど保健機能食品ではない食品の商品名の一部に“健康”と表示してはならない」ということになるでしょう。

 日本では、食品に単に“健康”と表示をすることへの規制は現時点ではありません。ただし保健機能食品以外の一般食品には、「保健機能食品と紛らわしい名称、栄養成分の機能及び特定の保健の目的が期待できる旨を示す用語」を表示することが禁止されています。つまり日本では、一般食品の商品名に「保健」や「機能」などの用語を使用することができないようになっています。

 分かりやすくするために、日本の“健康”に関する表示制度について、“保健機能”と“栄養成分の強調”に関する表示基準を整理してみました。(※食品表示基準を対象とします。実際に“健康”に関する表示をする際には、景品表示法や健康増進法等の規則にも注意が必要です。)

◆ 日本の“保健機能”に関する表示基準について

食品名大分類 食品名中分類 審査等の必要性 表示事項等
保健機能食品 特定保健用食品※1 必要(個別許可型、規格基準型) 許可等を受けた表示(「特定の保健の目的が期待できる旨」)の内容のとおり表示。
機能性表示食品 必要(届出型) 消費者庁長官に届け出た内容(「科学的根拠を有する機能性関与成分及び当該成分又は当該成分を含有する食品が有する機能性」)を表示。ただし「機能性関与成分以外の成分を強調する用語※2」や「栄養成分の機能を示す用語」等は禁止。
栄養機能食品 不要(規格基準型) 別表に定められた「栄養機能食品に係る栄養成分の機能」を表示。ただし「特定の保健の目的が期待できる旨を示す用語」等は禁止。
一般食品 分類名なし(いわゆる健康食品) 不要 「保健機能食品と紛らわしい名称、栄養成分の機能及び特定の保健の目的が期待できる旨を示す用語」等は禁止。
※1.別制度である「特別用途食品」(病者用食品等)の一部に位置づけられます。
※2.以下の「栄養成分の補給ができる旨」「栄養成分又は熱量の適切な摂取ができる旨」の表示をする場合を除く。そのため「糖質」など以下に設定のない成分を強調する用語は不可。

◆ 日本の栄養成分の強調に関する表示基準について
(審査等は不要。表示値設定の根拠資料の保管が必要。)

表示事項 規定の分類
栄養成分の補給ができる旨 高い旨(例:「高○○」「○○豊富」等)
含む旨(例:「○○源」「○○含有」等)
強化された旨(例:「○○30%アップ」等)
栄養成分又は熱量の適切な摂取ができる旨 含まない旨(例:「無○○」「○○ゼロ」等)
低い旨(例:「低○○」「○○ひかえめ」等)
低減された旨(例:「○○30%カット」等)
糖類を添加していない旨 -(例:「糖類無添加」「砂糖不使用」等)ただし「ノンシュガー」、「シュガーレス」のような表示は、「含まない旨」の規定が適用される。
ナトリウム塩を添加していない旨 -(例:「食塩無添加」「食塩不使用」等)

 日本では、上記のように審査や届け出を必要としない一般食品であっても基準を満たす場合、“栄養成分の機能”もしくは“栄養成分の強調”を表示することは可能です。しかしながら、こうした商品を台湾に輸出する際には、台湾での許可を得ない限りは、商品名の一部に「健康」といった用語は表示できないということになります。

 日本から海外に食品を輸出する際も、また反対に海外から日本に食品を輸入する際にも、その食品に“健康”や“栄養”などの強調表示がある場合には、こうした関連規則の有無を事前に確認することが大切です。また“健康”に関する表示もさらに広義に見れば、「オーガニック(有機)」や「グルテンフリー」、「無添加」などの表示についても各国に規則や基準があることが分かります。(※日本にはノングルテン米粉を除き基準値の設定はなく、現時点でグルテンフリーに関する公式な表示基準はありません。)
 こうした規則を確認する際には、可能な表示例や対象成分(ビタミンやミネラル等)だけでなく、「表示禁止事項(例:ただし「〇〇」とは表示できない等)」についてもあわせて確認されるとよいでしょう。

 今回は台湾のニュースを取り上げましたが、こうした傾向は他国でも起こり得ると思われます。健康に関する表示をした食品を取り扱われる方は、この機会に様々な国の動向を見ておかれるとよいのではと思います。


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食品表示チェック・翻訳サービス(海外向け、輸出食品):
国内で製造し海外で販売する食品、海外で製造し海外で販売する食品向けの食品表示サービスです。提供実績国数は約20ヵ国、各国現地の検査機関等との協業により、実態に沿ったラベルレビューや原材料リサーチ、翻訳をご提供いたします。
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特定保健用食品の表示に関する公正競争規約が施行されました

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 2020年6月24日に消費者庁および公正取引委員会により告示された「特定保健用食品の表示に関する公正競争規約及び同施行規則」が、8月21日に施行されました。表示の許可について国の審査を受ける特定保健用食品に公正競争規約が必要となったこと、制度の導入(1991年)から長い期間を経ていることなどから、規約の主な内容とあわせて施行に至った背景についても整理してみたいと思います。

背景


 2014年12月の機能性表示食品制度検討に際し、「機能性表示食品に係る食品表示基準についての答申書」として、「特保制度との関係・整序などの根本的な問題や、いわゆる健康食品や特保を含め表示だけでなく広く広告を含めたあるべきルールの問題について、さらに消費者委員会として、引き続き検討を加える所存である」と報告されています。その後、2015年6月に消費者委員会において、以下のような論点整理がされたという経緯があります。

  • 特保が「健康に役立つ」として国民に広く利用されるようになった一方、
  1. 消費者が健康の維持・増進、食生活の改善を目的とした制度であることを正しく理解して製品を利用しているか(効果に対し過大な期待をしていないか)、
  2. 効果に見合わない宣伝・広告が行われているのではないかといった疑義が示されるようになった。

また、消費者委員会で特保の表示許可を審議する委員からも、特保に関して、表示・広告に関する問題だけでなく、制度や運用についても問題提起がされるようになっている。

平成 27 年4月には機能性表示食品の制度が始まり、企業の自己認証で健康強調表示を行うことができるようになった。同制度による製品は特保とともに、「いわゆる健康食品」と呼ばれる製品群に含まれる、健康への効果や安全性が明らかでない食品の淘汰に寄与することが期待されている。しかし、その効果が十分に発揮されるためには、国民が各制度を正しく理解し、適切な製品選択を行うことができる環境を早急に整えることが求められる。

 この論点について、2015年8月より「特定保健用食品等の在り方に関する専門調査会(内閣府消費者委員会)」において議論がなされ、以下のような報告がされたことが、今回の公正競争規約の背景となったものと思われます。

一方、現在の広告をみると、「特保の摂取で食生活の乱れを相殺できる」と受け取れるような、健康にとってのマイナスを特保摂取だけでゼロに戻せるといった暗示的な広告を行う製品もある。このような現状は、製品の広告制作に携わる人々や、製品の流通・販売に係わる人々も、あまり制度の本来の趣旨を理解していないために起きているのではないか。特保制度の目的である、健康増進・食生活改善という点を、もう一度認識しなおす必要がある。

特保に関する自主基準としては、公益財団法人 日本健康・栄養食品協会の『「特定保健用食品」適正広告自主基準』があり、特保の広告の適正化に向けた取組を行っている。(中略)現時点においては、自主基準を全ての加盟企業が遵守するまでには、至っていない。その状況を改善するために、事後チェックで指摘を受けた事業者に対し是正状況のフォローアップを実施することや、「公正競争規約」を設けるといった工夫が、特保を製造する業者間で行われることを期待する。

主な規則


 特定保健用食品の表示に関する公正競争規約には、菓子や飲料など様々な食品分類に横断的に関わるといった特徴があります。こうした規約としては以前より「観光土産品の表示に関する公正競争規約」があるのですが、こちらは他の規約の適用を受けるものを除くことになっており、特定保健用食品についてはこうした除外規程はありません。
また容器包装の表示については、食品表示基準に従った規則が改めて整理されていますので、実務面において注意する必要があるのは、主に「容器包装以外の表示」(広告等の表示)と思われます。

<容器包装以外の表示>公正競争規約第9条~11条、同施行規則第20条~25条より一部抜粋

必要表示事項 (1) 特定保健用食品である旨
(2) 許可等を受けた表示の内容
(3) バランスのとれた食生活の普及啓発を図る文言
推奨表示事項 (1) 一日当たりの摂取目安量に関する表示
(2) 摂取の方法に関する表示
任意表示事項
  • 特定保健用食品の容器包装以外の表示に関する任意表示事項を表示する場合は、許可等を受けた内容の範囲で表示すること。
  • 前項の規定のほか、次の各号に掲げる事項を表示する場合は、それぞれ当該各号に定める基準に従って表示すること。

(1) 許可等表示に関する表示
(2) 特定保健用食品である旨の表示
(3) 安全性に関する表示
(4) ヒト試験に関する表示
(5) ヒト試験におけるデータ(グラフ等)の表示
(6) 関与成分の作用メカニズムに関する表示
(7) 製品特徴・配合成分に関する表示
(8) 統計データ等の表示
(9) アンケート・モニター結果の表示
(10) 個人の感想等の表示
(11) 医師・専門家等を起用した表示
(12) 子供を起用した表示

 上記は抜粋ですので、詳細は施行規則を参照してください。例えば任意表示事項の「(1) 許可等表示に関する表示」は、「許可等表示について、キャッチコピー等での言い換え、簡略化、一部省略した表示、又は追加の説明を表示することができる。ただし、表示する場合は、過大な効果を期待させ、又はその過大な効果についても国が許可等しているかのように誤認させることがないよう表示すること。」とされています。

今後について


 特定保健用食品の表示に関する公正競争規約および施行規則は2020年8月21日に施行されましたが、「容器包装以外の表示」(公正競争規約第9条~第14条および施行規則第20条~第26条)については、2020年6月24日の告示日から6ヶ月を経過した日が施行日となります。
 容器包装以外といった広告表示に関する規則について詳細に規定されていることから、特定保健用食品だけでなく一般的な健康食品を取り扱う方にとっても、こちらの規約についての詳細を確認されておくとよいと思います。


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「魚介類の名称のガイドラインの一部改正」及び「魚類の新標準和名の提唱手順」が公表されました

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 2020年7月16日、消費者庁は「魚介類の名称のガイドラインの一部改正」及び「魚介類の名称のガイドラインに係る魚類の新標準和名の提唱手順」を公表しました。

【ポイント】

  • 魚種の追加、標準和名等についての整理がされた
  • 標準和名の付けられていない魚種について、新たな標準和名を提唱することができる

背景


 「魚介類の名称のガイドライン」は、生鮮魚介類の小売販売を行う事業者等に対し、食品表示基準に基づき魚介類の名称を表示等する際に参考となる考え方等を示すものとされています。また魚介類を原材料として使用する加工食品の表示をする際においても、最も一般的な名称を確認するにあたっての拠り所となるガイドラインでもあります。
 そのガイドラインに対し、水産関係事業者団体等から魚種の追加等に係る改正要望があり、昨年、ガイドライン改正案作成に係る検討会が4回開催され、今回の改正案等の公表に至っています。

ガイドラインの改正概要


 改正の概要は以下のとおりです。

1. 魚種の追加 国産魚種:3種(クロシビカマス、メアジ、イヌノシタ)
海外漁場魚種・外来魚種:39種(クリアノーズスケイト、アメリカウナギ、イラコアナゴ、パンガシウス、ヨーロピアンスプラット、グレーターシルバースメルト、ニジワカサギ、リング、ヒタチダラ、ホワイトヘイク、アメリカンアングラー、ナンヨウキンメ、アラスカキチジ、ナガメヌケ、キタノメヌケ、ゴケメヌケ、アラスカアカゾイ、ヒレグロメヌケ、ニシアカウオ、アルゼンチンオオハタ、ミナミオオスズキ、オオヤセムツ、ニュージーランドマアジ、ミナミマアジ、チリマアジ、ニジイトヨリ、ゴウシュウマダイ、アメギス、ホシギス、モトギス、コガネギス、トランペッターシラーゴ、ミナミクサカリツボダイ、フエフキタカノハダイ、バルコグランダー、ミナミクロメダイ、ヒレナガナメタ、タイセイヨウオヒョウ、ウマガレイ)
2. 魚種の削除 生産、流通実態のない「カワスズメ」を削除
3. 標準和名及び一般的名称例の整理 国産魚種:5種(サクラマス、サツキマス、カラフトマス、キンメダイ、アラスカメヌケ)
海外漁場魚種・外来魚種:15種(チャネルキャットフィッシュ、パンガシウス、メルルーサ、シロイトダラ、モトアカウオ、チヒロアカウオ、マジェランアイナメ、ミナミカゴカマス、ミナミオオスミヤキ、ウロコマグロ、ナイルティラピア、ミナミメダイ、シルバー、オキヒラス、グリーンランドアカガレイ)
4. 学名の修正 国産魚種:10種(アカエイ:Dasyatis akajei → Hemitrygon akajei など)
海外漁場魚種・外来魚種:3種(モトアカウオ:Sebastes marinus → Sebastes norvegicus など)

新たな標準和名の提唱手順


 ガイドラインにおいて、魚類の名称の表示は標準和名を基本とすることとしていますが、新規に国内市場に流通する魚種など、標準和名が付けられていない魚種が存在します。このため、このような魚種についても、新たに標準和名の提唱を可能とするスキームを構築すべきとの議論が上述の検討会においてなされました。
 そうした背景をもとに、標準和名等が付けられていない魚種について、消費者庁を窓口に、日本魚類学会に属する研究者に依頼することにより、新たな標準和名を提唱することのできるスキームが構築されています。

 スキームについての詳細は、こちらの消費者庁サイトを参照してください。
 https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/quality/case_001.html

新旧対照表の確認を


 魚介類の名称のガイドラインは、食品表示基準Q&Aの別添資料の1つです。そのため公表と同日である2020年7月16日に、食品表示基準Q&Aの第11次改正がされています。新旧対照表も掲載されていますので、魚介類を取扱う方および原材料に魚介類を使用される方、また輸入等より外国産魚類などの標準和名の付けられていない魚介類を取扱う方は、一度目を通しておかれるとよいでしょう。

【お知らせ】
2020年7月7日、消費者庁より以下の発表がありましたので、こちらにお知らせいたします。


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食品表示基準より「人工」、「合成」の用語を削除 ~経過措置期間は2022年3月31日まで~

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 2020年5月25日、消費者委員会食品表示部会において、食品表示基準の一部改正(食品添加物に関する表示 他)に係る審議が行われ、食品表示基準より「人工」、「合成」の用語を削除する等の諮問書および答申書案に対し、了承がなされました。改正は2020年7月16日に施行予定となります。

背景


 2020年3月31日にとりまとめがされた「食品添加物表示制度に関する検討会報告書」において、現行制度では「人工甘味料」、「合成保存料」等の用語が無添加表示のためだけに使用されている実態が指摘されていた経緯があります。そこで消費者の誤認を防止する観点等から、「人工」、「合成」の用語を削除することになりました。消費者の誤認を防止する目的であるため、改正後(経過措置期間後)は添加物に対する「人工」「合成」等の表示は実質的に使用できなくなると思われます。

出典:食品添加物表示制度に関する検討会報告書

4. 今後の食品添加物表示制度の方向性
(2)「無添加」、「不使用」の表示の在り方
②整理の方向性
イ 「人工」、「合成」の用語
 消費者意向調査の結果では、消費者は添加物に関して「人工」、「合成」といった文言があると避けるという消費者が存在することが分かった。また、事業者団体等関係者からのヒアリングでは、「化学調味料」のように、食品表示法上、その定義が不明確な用語が使用されていることも、添加物に対する消費者の理解に影響しているとの意見が挙がった。
 検討会では、食品表示基準にある「合成保存料」、「人工甘味料」等の、「人工」及び「合成」を冠した食品表示添加物表示に関する規定については、添加物の表示が全面化された平成元年当時の食品衛生法における添加物表示の整理と矛盾することから、また消費者の誤認防止の観点から、委員の総意として当該用語を削除することが適当であるとされた。
 なお、「化学調味料」のような法令上にない用語の使用により消費者の添加物に対する理解に影響を与えると指摘された表示については、(2)の②のア(「無添加」、「不使用」等の表示)で示されたガイドラインの検討段階において、事業者がその用語について広告等を含め表示することがないような検討を併せて行うことが望ましい。

主な改正内容


 食品表示基準における改正は、以下のとおりです。

食品添加物表示制度に関する検討会報告書を踏まえ、一般加工食品の横断的義務表示事項を定めた基準第3条第1項の表、別表第6、別表第7を改正し、「人工」及び「合成」の用語を削除する。

◆ 改正案 第3条第1項の表(横断的義務表示)

添加物
現行 1 次に掲げるものを除き、添加物に占める重量の割合の高いものから順に別表第6の上欄に掲げるものとして使用される添加物を含む食品にあっては当該添加物の物質名及び同表の下欄に掲げる用途の表示を、それ以外の添加物を含む食品にあっては当該添加物の物質名を表示する。
一~三(略)
2 (略)
3 1の規定にかかわらず、添加物の物質名の表示は、一般に広く使用されている名称を有する添加物にあっては、その名称をもって、別表第7の上欄に掲げるものとして使用される添加物を含む食品にあっては同表の下欄に掲げる表示をもって、これに代えることができる。
4 1の規定にかかわらず、次に掲げる場合にあってはそれぞれ当該各号に掲げる用途の表示を省略することができる。
一添加物を含む旨の表示中「色」の文字を含む場合 着色料又は合成着色料
二(略)
改正案 1~3(略)
4 1の規定にかかわらず、次の各号に掲げる場合にあってはそれぞれ当該各号に定める用途の表示を省略することができる。
一添加物を含む旨の表示中「色」の文字を含む場合 着色料
二(略)

◆ 改正案 別表第6(添加物の用途)

甘味料 現行 甘味料、人工甘味料又は合成甘味料
改正案 甘味料
着色料 現行 着色料又は合成着色料
改正案 着色料
保存料 現行 保存料又は合成保存料
改正案 保存料
(略)

◆ 改正案 別表第7(添加物の物質名の代替となる語(一括名))

(略)
香料 現行 香料又は合成香料
改正案 香料
(略)

 なお、これらのほかに、「原料ふぐの種類に関する表示」、「特色のある原材料等に関する表示(2020年1月JAS法施行令の改正(施行日は2020年7月16日)に伴い「有機畜産物」を追加)」等の改正も予定されています。

今後の予定


 公布及び施行は2020年7月16日(JAS法施行令と同日施行)です。また経過措置期間として、2022年3月31日までに製造され、加工され、又は輸入される加工食品(業務用加工食品を除く)及び同日までに販売される業務用加工食品の添加物の表示については、なお従前の例によることができることとしています。
 現在、添加物に対し「合成」「人工」等の用語の表示を使用されている方は、同委員会の資料はもとより、できれば食品添加物表示制度に関する検討会議事録などの背景もあわせて確認をされるとよいと思います。


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「日本人の食事摂取基準(2020年版)」が公表されました ~栄養素等表示基準値の改定は見送りに~

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 2020年4月24日、消費者庁は「栄養素等表示基準値の改定に関する調査事業 報告書(以下「報告書」)」を公表しました。また1ヶ月前の3月27日に、食品表示基準、食品表示基準について(通知)、食品表示基準Q&Aがそれぞれ改正されておりますが、新しいニュースではない点をご了承ください。

【ポイント】

  • 2019年12月に「日本人の食事摂取基準(2020年版)」の策定検討について報告され、その後、厚生労働省より公表されました。
  • 食品表示基準の「栄養素等表示基準値」は「日本人の食事摂取基準(2015年版)」を基に設定されています。
  • 消費者庁は「栄養素等表示基準値」等の見直しに関する検討を行い、結果、改定は行わないことになりました。

検討の背景


 栄養素等表示基準値※は、栄養強調表示や栄養機能食品の表示をする際に基礎となっているものです。改定が検討された背景については 「報告書」に整理されています。

 食品表示基準(平成27年内閣府令第10号)に規定している栄養素等表示基準値は、厚生労働省策定の「日本人の食事摂取基準(以下「食事摂取基準」という。)(2015年版)」に基づき設定している。食事摂取基準に示された栄養素について、当該食事摂取基準を性及び年齢階級(18歳以上に限る。)ごとの人口により加重平均した値であり、食品に関する表示を行う際に用いる基準値として設定したものである。
 厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2020年版)」策定検討会において、食事摂取基準の改定が検討され、平成31年3月22 日の第6回検討会を経て、食事摂取基準(2020年版)が公表された。
 栄養素等表示基準値については、食事摂取基準の改定箇所等を踏まえ、栄養機能食品の1日当たりの摂取目安量に含まれる機能に関する表示を行っている栄養成分の量の下限値及び上限値の一部並びに栄養強調表示の基準値の一部の設定の基礎となっている。
このため、本事業は、食事摂取基準(2020年版)の公表を踏まえ、栄養素等表示基準値等の見直しに関する検討を行うことを目的とした。

※「食品表示基準について(通知)」において、「栄養素等表示基準値とは、表示を目的として、食事摂取基準の基準値を日本人の人口に基づき加重平均したものであり、必ずしも個人が目指すべき1日当たりの栄養素等摂取量を示すものではない。」と記載されています。

検討結果


 「報告書」では、以下のとおり検討の結果について整理されています。

  • 食事摂取基準(2020年版)に基づく栄養素等表示基準値の改定は行わない。
  • ただし、その論拠を報告書に明記するとともに、国民の食品によるビタミンD※の摂取状況等を把握した上で、慎重に改定要否を検討する。

※栄養素等表示基準値の現行値と暫定値(食事摂取基準(2020年版)及び最新の人口推計値を用いて算出)を比較し、ビタミンDは差異が50%以上であったため、特に優先検討項目とされました。

 また、栄養素等表示基準値の改定は行わないこととされたため、栄養機能食品に含まれる栄養成分量の下限値及び上限値並びに栄養強調表示の基準値の改定についても、行わないこととされました。

 なお改定年次の表示については、検討委員より以下の指摘があったことが報告されています。

  • 事業者がどの時点の栄養素等表示基準値を参照して記載しているのか明確化し、消費者にその情報を伝えるためにも、栄養素等表示基準値の改定年次の表記が必要ではないか。
  • 栄養素等表示基準値の改定が行われなかった場合であっても、検討の結果、改定を行わない旨の判断がなされている。そのため、結果として改定が行われない場合であっても参照すべき年次の表記を行うことが必要ではないか。

「食品表示基準について」の改正内容


 これを受け、2020年3月27日に「食品表示基準について(通知)」が改正されました。栄養機能食品の表示に関する点を、「食品表示基準について 第十九次改正 新旧対照表」より以下に抜粋します。(改正により、右側下線部分が削除されています。「食事摂取基準(2015年版)」の記載を消すことで、2015年版、2020年版等の混乱をなくす意図と思われます。)

「栄養素等表示基準値の対象年齢及び基準熱量に関する文言」とは、「栄養素等表示基準値(18歳以上、基準熱量2,200kcal)」その他これに類する文言とする。

必要的表示事項である栄養素等表示基準値に対する割合、栄養素等表示基準値の対象年齢及び基準熱量に関する文言を表示した上で、小児や月経ありの女性等、特定の性・年齢階級を対象とした食事摂取基準を任意で表示することは差し支えない。その場合、出典を明記すること。

「栄養素等表示基準値の対象年齢及び基準熱量に関する文言」とは、「栄養素等表示基準値(18歳以上、基準熱量2,200kcal)」その他これに類する文言とする。

食品表示基準に基づき栄養素等表示基準値に関する表示をする場合、栄養表示基準との差別化を図るため、「栄養素等表示基準値(2015)」等、日本人の食事摂取基準(2015年版)を基にしていることが分かるような表示とすることが望ましい。

必要的表示事項である栄養素等表示基準値に対する割合、栄養素等表示基準値の対象年齢及び基準熱量に関する文言を表示した上で、小児や月経ありの女性等、特定の性・年齢階級を対象とした食事摂取基準を任意で表示することは差し支えない。その場合、出典を明記すること。

 その他、食品表示基準においては「栄養成分又は熱量の適切な摂取ができる旨」についても改正があり、低い旨の表示は「基準値に満たない場合にすることができる」から「基準値以下である場合にすることができる」ことに変わっています。
 しばらくは当コラムでも新型コロナウイルス感染症関連のニュースを優先して掲載しておりましたが、3月27日の改正について確認されていない方は、一度目を通しておかれるとよいと思います。


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【4月13日追記】新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う中国産輸入原材料の供給不足を受けた 食品表示基準と米トレーサビリティ法の弾力的運用について

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【最終更新日:2020年4月13日】

2020年4月10日、消費者庁より新しい通知が発表されています。
対象国を中国の1ヶ国とした前回(2020年3月3日、9日)の通知は廃止され、特定の国を対象とせず、また対象となる表示事項が拡大されています。詳細はこちらをご覧ください。

2020年3月3日、消費者庁と農林水産省による連名で「新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う中国産輸入原材料の供給不足を受けた食品表示法に基づく食品表示基準の弾力的運用について」を発表しました。また3月9日に続けて、「新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う中国産輸入原材料の供給不足を受けた米トレーサビリティ法の弾力的運用について」を発表しています。

【背景】

現在、中国における新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う中国産輸入原材料の供給不足により、法令を遵守し、一般消費者に対し、容器又は包装への表示により、中国産である旨の産地情報の伝達を行っている商品について、中国産以外の原材料への切替えを検討している食品関連事業者が容器包装の資材変更に即時対応できず生産が滞るなど、米穀等に関する適正かつ円滑な流通に支障が生じている

【目的】

新型コロナウイルス感染症の拡大が社会的、経済的活動に影響を及ぼしている現状において、一般消費者の需要に即した食品の安定供給に向けた生産体制を確保するため

<通知の概要(食品表示基準)>

  • 中国産として原料原産地表示を行っている商品について、原料原産地表示の中国産との表記と実際に使用されている原材料の原料原産地に齟齬がある場合であっても、一般消費者に対して、店舗等内の告知、社告、ウェブサイトの掲示等により当該商品の適正な原料原産地に係る適切な情報伝達がなされている場合に限り、食品表示基準を弾力的に運用する
  • なお今回の運用は、食品の生産及び流通の円滑化を図るために講じるものであり、消費者を欺瞞するような悪質な違反に対しては、これまでどおり厳正な取締りが行われる

<通知の概要(米トレーサビリティ法)>

  • 中国産である旨の産地情報の伝達を行っている商品(※1)について、原料原産地表示の中国産との表記と実際に使用されている原材料の産地に齟齬がある場合であっても、一般消費者に対して、店舗等内の告知、社告、ウェブサイトの掲示等により当該商品の適正な産地に係る適切な情報伝達がなされている場合に限り、米トレーサビリティ法(※2)第8条の規定を弾力的に運用する
  • なお今回の運用は、米穀等に関する適正かつ円滑な流通を図るために講じるものであり、一般消費者を欺瞞するような悪質な違反に対しては、これまでどおり厳正な取締りが行われる

※1.米トレーサビリティ法施行令第1条に掲げる飲食料品のうち、清酒、単式蒸留しょうちゅう、みりん、もちを除いたもので、産地が「中国」である旨を容器包装に表示した商品
※2.『米穀等の取引等に係る情報の記録及び産地情報の伝達に関する法律』

 詳細は、以下のページで確認してください。なお、この原稿執筆時点(2020年3月31日)では、対象国は「中国」の1ヶ国のみです。

参照:消費者庁「食品表示に関するお知らせ」

 また農林水産省サイトにおいては「食品産業事業者に新型コロナウイルス感染者が発生した時の対応及び事業継続に関する基本的なガイドライン」が発表されています。感染拡大防止を前提として、食料安定供給の観点から、業務継続を図る際の基本的なポイントが記載されていますので、あわせて確認をされておかれるとよいと思います。

【2020/4/13 追記】

 2020年4月10日、消費者庁より新しい通知が発表されています。
対象国を中国の1ヶ国とした前回(2020年3月3日、9日)の通知は廃止され、特定の国を対象とせず、また対象となる表示事項が拡大されています。

1)新型コロナウイルス感染症の拡大を受けた食品表示法に基づく食品表示基準の弾力的運用について

食品表示法第六条第八項に規定するアレルゲン、消費期限、食品を安全に摂取するために加熱を要するかどうかの別その他の食品を摂取する際の安全性に重要な影響を及ぼす事項を定める内閣府令(平成 27 年内閣府令第 11 号)第1条に定める事項を除き、食品表示基準に基づき容器包装に表記された原材料等、原料原産地又は栄養成分の量などの表示事項と実際に使用されている原材料等、その原料原産地又は当該原材料等から得られる栄養成分の量などの表示事項に齟齬がある場合であっても、一般消費者に対して、店舗等内の告知、社告、ウェブサイトの掲示等により当該食品の適正な原材料等その他の情報が適時適切に伝達されている場合にあっては、当分の間、取締りを行わなくても差し支えないこととします

2)新型コロナウイルス感染症の拡大を受けた米トレーサビリティ法の弾力的運用について

容器又は包装の表記と実際に使用されている原材料の産地に齟齬がある場合であっても、一般消費者に対して、店舗等内の告知、社告、ウェブサイトの掲示等により当該商品の適正な産地に係る適時適切な情報伝達がなされている場合にあっては、当分の間、取締りを行わなくても差し支えないこととします

3)新型コロナウイルス感染症の拡大を受けた製造所等及び製造所固有記号の表示の運用について

1.製造所等の表示の運用について
他の製造所等に食品の製造又は加工を委託する場合など、基準第3条に基づき容器包装に表示された製造所等と実際の製造所等が異なる場合であっても、製造所等の表示の取扱いの特例として、当面の間、別添届出様式(様式第1号)を用いて届け出ることにより、実際の製造所等と容器包装に表示された製造所等が異なることとなっても差し支えないこととします。

2.製造所固有記号の表示の運用について
基準第3条に基づき容器包装に表示された製造所固有記号が示す製造所と実際の製造所が異なる場合であっても、製造所固有記号の表示の取扱いの特例として、当面の間、別添届出様式(様式第2号及び第3号)を用いて届け出ることにより、使用していた記号を他の製造所に例外的に使用できることとします。

 詳細は各通知にてご確認ください。


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「食品添加物表示制度に関する検討会報告書(案)」が公表されました

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 2020年2月27日開催の第9回食品添加物表示制度に関する検討会において、消費者庁より「食品添加物表示制度に関する検討会報告書(案)」が公表されました。添加物表示制度のうち、とりわけ「無添加」「不使用」表示に関する動向が注目されていると思いますので、こちらに報告書(案)の内容についてまとめてみます。

【ポイント】

  • 「無添加」、「不使用」等の表示については、新たにガイドラインが策定される
  • 「合成保存料」、「人工甘味料」等の「人工」「合成」の用語については、食品表示基準から削除される
  • 栄養強化目的の添加物については、原則全ての加工食品に表示させる方向で、実態調査を実施する

整理の方向性について


(1)一括名表示、簡略名・類別名表示及び用途名表示の在り方

<整理の方向性>

 一括名表示、簡略名・類別名表示及び用途名表示は、表示可能面積が限られていること、これまで30 年以上用いられてきたことから、消費者にとってなじみがあり分かりやすい。一方、現状の制度では、使用した個々の添加物とその使用目的が分からない場合がある。このため、使用した個々の添加物が分かるように、又は後から調べることを可能とするため、コーデックス規格に基づく表示を仮に採用した場合は文字数が大幅に増加することから、表示可能面積の問題や見やすさ、分かりやすさが現状よりも失われる懸念がある。その他、添加物を番号で表示することについては、消費者になじみがないことに加え、使用可能な添加物がコーデックス規格と我が国の制度とで異なることから、番号に置き換えることが可能なものとそうではないものが存在する。また、用途名の併記については、複数の効果を持つ添加物が多数存在し、その用途の選定は結果的に使用する事業者に委ねられるものであり、なじみのない表現もある。以上のことから、現状の制度を変更することは現時点では困難である。

(2)「無添加」、「不使用」の表示の在り方

<整理の方向性>

 『「無添加」、「不使用」、等の表示』
 食品表示基準第9条では表示すべき事項と矛盾する用語や内容物を誤認させるような文字等を禁止しており、食品表示基準Q&A は同条の解釈を示すものであるが、同条の規定の解釈を網羅的に示したものではない。また、添加物に関して「無添加」等の表示方法を示す食品表示基準Q&A も曖昧である。現状の曖昧な食品表示基準Q&A を基に「無添加」等の表示を事業者が任意で行っていることが、消費者意向調査において一部の消費者が「無添加」等の表示を理解していない結果が得られた理由の一つとも考えられる。一方、無添加等の表示を一律に禁止することは妥当ではない。このため、「無添加」等の表示の在り方については、食品表示基準で禁止されている表示すべき事項の内容と矛盾する又は内容物を誤認させるような「無添加」等の表示をなくすことを目的とし、同条の表示禁止事項に当たるかどうかのメルクマールとなるガイドラインを策定することが適当と考えられる。ガイドラインの策定等を通じて、事業者による既存の公正競争規約の改正、業界の新たな公正競争規約の策定を促すことが期待される。

『「人工」、「合成」の用語』
 「合成保存料」、「人工甘味料」等、「人工」及び「合成」を冠した食品添加物表示の規定については、現行の食品衛生法における添加物の取扱いを鑑み、消費者の誤認防止の観点から、削除することが適当であると考える。

(3)栄養強化目的で使用した食品添加物の表示

<整理の方向性>

 栄養強化目的で使用した食品添加物については、諸外国において食品添加物として扱っていないこと及びビタミン、ミネラル、アミノ酸等の含有量の表示は重要であることから、食品表示法制定以前の食品衛生法では、別途栄養成分の表示として整理することが適当とされ、調製粉乳等、栄養に配慮が必要な食品以外ではその表示を要しないとされていた。一方で、食品表示法制定以前のJAS 法では、食品群に応じた規格を設けその規格において使用可能な食品添加物を制限するとともに、栄養強化目的であっても使用した食品添加物は表示することとされており、両法において栄養強化目的で使用した食品添加物の表示の考え方に違いがあった。
 食品表示法に基づく食品表示基準における栄養強化目的で使用した食品添加物の表示の考え方は、以上のような食品衛生法とJAS 法の表示の取り扱いをそのまま取り入れた結果、表示義務がある食品とない食品が存在し、消費者にとって分かりにくい状況となっている。また、国際的にみても、コーデックスやEU、豪州等においては、栄養強化目的の物質を食品添加物としていないものの、使用した物質は全て表示させている。このため、栄養強化目的で使用した食品添加物を知りたいという消費者ニーズも念頭に「表示を要しない」という規定を見直し、原則全ての加工食品に栄養強化目的で使用した食品添加物を表示させる方向で検討することが適当である。
 ただし、その検討に当たっては、現在の表示状況、消費者の意向、事業者への影響について実態調査を実施するとともに、表示の事項間の優先順位、表示可能面積の問題等に関する消費者委員会食品表示部会における「表示の全体像」に関する議論も踏まえ、最終的な結論を得ることが適当であると考えられる。

(4)食品添加物表示の普及、啓発、消費者教育について

<整理の方向性>(一部抜粋)

 行政、消費者団体、事業者団体等それぞれは、表示制度を含む食品添加物に関する普及、啓発を実施しているが、より効果的、効率的に実施をしていくために、行政、消費者団体、事業者団体等がそれぞれの強みを生かして連携し、対象とする世代に応じたアプローチを行うことが適当と考える。特に、消費者庁は、各府省庁と連携し、例えば、食育を通じた取組、学生のみならず学生に教える立場の栄養教諭や栄養士等の専門職を対象とした取組の実施に努めることが望まれる。

今後について


 実態調査の必要な「栄養強化目的」の添加物の表示制度に関する改正と、「無添加」「不使用」等の表示に関するガイドラインの策定にはある程度の期間が必要と思われますが、一方で「人工」「合成」の用語の削除については期間を要することはなく早めに実施されるものと思われます。現状でこうした表示をされている方は、一度検討会議事録に目を通しておかれるとよいと思います。


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