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亀山 明一

About 亀山 明一

添加物製剤の業界に長く在籍した経験を活かし、添加物の調査業務を中心に、調査結果の英文と日本語との整合性確認業務に従事しています。また原材料の使用基準や食品表示基準などについて、英語でのセミナー講師も担当しています。
趣味は外国文化に触れることと旅行。

「公正競争規約」の食品表示における位置付けと役割、そしてその遵守について

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 食品の優良誤認や有利誤認等の不当な表示を禁止する法令に景品表示法があり、この規定により、事業者又は事業者団体(協議会)が自主的に設定する業界のルールとして「公正競争規約」がありますが、この程、保健機能食品の一つであるいわゆる「特保」と言われる「特定保健用食品」の表示に関し、公正取引委員会と消費者庁は、特定保健用食品(特保)の表示に関する公正競争規約を認定しました。

 身体機能への働きかけや健康維持に関する強調表示は、一つ間違えば優良誤認に繋がってしまい、景品表示法に抵触してしまう可能性もありますが、一般的で抽象的な内容が規定されている景品表示法だけでは、具体的にどの様な表示が認められ、又禁止されているかを判断するのが難しいです。これに対し業界が定める「公正競争規約」ではこれらが具体的に示されています。

 特にその強調表示の遵法性の判断が難しい、これら保健機能食品に対し「公正競争規約」が認定されたことにより、本規約の役割がより明らかになったと考えており、今回は、この「公正競争規約」の食品表示における位置付けと役割、そしてその遵守について触れてみたいと思います。

 まず、「公正競争規約」の目的について見てみましょう。
消費者庁のホームページには以下の通り記載されています。
(以下、掲載文の一部抜粋です。)

「公正競争規約は、その業界の商品特性や取引の実態に即して、広告やカタログに必ず表示すべきことや、特定の表現を表示する場合の基準、景品類の提供制限などを定めており、一般消費者がより良い商品・サービスを安心して選ぶことができる環境作りのための大切な役割を担っています。」
「不当な表示や過大な景品類の提供による競争を防止し、業界大多数の良識を「商慣習」として明文化し、この「商慣習」を自分も守れば他の事業者も守るという保証を与え、とかくエスカレートしがちな不当表示や過大な景品類の提供を未然に防止するというところに公正競争規約制度の目的があります。」

 記載内容を要約しますと、景品表示法の規定に基づき、その製品を取り扱う業界毎に存在する独自の「商習慣」を取り入れ、その業界の商品特性や取引の実態に即して、広告やカタログに必ず表示すべきことや、特定の表現を表示する場合の基準、景品類の提供制限などを定めることにより、エスカレートしがちな不当表示や過大な景品類の提供を未然に防止するのが、「公正競争規約」の目的となります。

 次に「公正競争規約」の定める内容について見てみましょう。こちらについては、消費者庁のホームページには以下の通り記載があります。

  1. 必要な表示事項を定めるもの(原材料名、内容量、賞味期限、製造業者名等の表示を義務付けることなど)
  2. 特定事項の表示の基準を定めるもの(不動産広告の徒歩による所要時間は、80メートルにつき1分の換算で表示することなど)
  3. 特定用語の表示を禁止するもの(加工乳及び乳飲料には、「牛乳」の用語を使用しないことなど)

 こちらに記載されている通り、「公正競争規約」には大まかに言えば、該当する商品について何を表示すべきで、何を表示してはならないかを具体的に定めているということになります。

 ちなみに今回認定された「特定保健用食品」の「公正競争規約」内の施行規則には、例えば容器包装上に記載してはならない不当表示として、

表示許可書又は表示承認書に記載された食品(以下「許可等を受けた食品」という。)に疾病の治癒若しくは予防等の効能効果があるかのように誤認されるおそれ がある表示、又は医薬品であるかのように誤認され、疾病者の適切な治療の機会を 損失させるおそれがある表示

等、関連する食品の内容又は取引条件について一般消費者に誤認されるおそれがある不当表示が17例も例示されています。

 以上が「公正競争規約」に関する説明となりますが、ではこの規約はどの程度法的な拘束力があるのでしょうか。
「公正競争規約」は、事業者又は事業者団体が自主的に設定するルールであることから、規約に参加していない事業者には適用されません。

 従って参加事業者以外、その遵守については任意とはなります。しかしながら、このルールは食品事業者全てが対象の景品表示法に基づく業界ルールであることから、規約への参加の有無に関わらず、本規約を遵守している限り、景品表示法や関係法令上問題とされにくくなると考えます。

 具体的にこの「公正競争規約」は、食品一般には35規約、酒類には7規約が設定されています。食品の強調表示を検討しておられる、あるいは今後検討される皆様におかれましては、関連する食品分類に関する規約の内容を一度改めて確認されてみてはいかがでしょうか。


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中国における食品表示に関する法改正の動き

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 中国において、食品表示に関する法改正の動きがありましたので、今回はその改正の内容についてご紹介させて頂きたいと思います。
 昨年12月号に引き続き、中国のコンサルティング会社 REACH24 グループよりご寄稿頂きました記事の情報に基づく内容となります。


 昨年11月、中国国家市場監督管理総局(SAMR)より、中国への輸出食品を含むすべての食品を対象とする「Measures for the Supervision and Management of Food Labeling (食品表示に関する監督並びに指導)」の法案に対するパブリックコメントの募集が発表されました。法案のうち以下の2つの項目がこれまでの法令にはなかった内容の追加であるとのことです。

  • 第14条 輸入食品には中国語のラベルを貼ってあること。このラベルは(該当する食品の)製造時等に、販売最小単位となるパッケージ上に直接貼り付けるか、印字あるいは表示されていなければならない。表示は当該食品が中国到着する前に施されていなければならない。
  • 第15条 「~専用」など専門性を示す用語や、当該製品が乳幼児並びに子供、高齢者、妊婦といった特殊なグループにより適していることを示す語句などを含む文言を使用することは認められない。この様な強調表示の使用は特定のグループ向けの特定の国家基準や法令が対象としている食品に限られる。(例えば、妊婦/授乳中の女性向け食品、乳児向け粉ミルク等)

 又、今回の法案では以下の強調表示を禁止しており、こちらの内容も注目すべき点となっている様です。

  • 明示的もしくは暗示的に疾病の予防や治療効果を標ぼうする表示
  • 健康食品ではない食品が明示的もしくは暗示的に医療的機能を標ぼうすること
  • 食品について詐欺的方法もしくは誤認される様な方法で説明すること
  • 添付された製品規格書が裏付けとなる根拠を欠いているもの
  • 国の慣習に反し、特定のグループを差別するような語句
  • 中国の国旗、国章もしくは中国元のイメージを使用した表示
  • 社会の調和にマイナスの影響を与える商品名
  • 登録されている医薬品と同一名を食品に使用する
  • 法律、法令や基準において禁止された内容を含むもの

 現在中国向けの輸出を考えていらっしゃる方々には、まず第14条については、これまでは中国に到着してからも可能であったラベルの貼り付けが、今後は日本での製造時に、販売最小単位のパッケージにまでラベルの貼り付けが必要になることから、日本からの輸出準備においての作業負担が増えるのは必至です。

 そして第15条については、特定の年齢層や特殊な対象者(妊産婦など)をターゲットとする場合、考えておられる対象者に対して法令が別途設定されているかどうかを事前に確認することが必要になります。

 更に強調表示として禁止されている項目については、健康食品を含め、中国向け食品のパッケージをデザインされる際の参考にして頂ければと存じます。

 尚、その後これまでに得られたパブリックコメントに基づき、今後の法案の改正は以下の内容に関するものになるであろうと言われており、この点も追記しておきます。 改正の具体的スケジュールは、現段階で明らかではありませんが、引き続き、その動きには注目して参りたいと思います。

  1. 以下の項目に関する必要条件の最適化:
    • 表示に使用する文字に関するもの
    • 輸入食品の表示に関するもの
    • 保存条件に関するもの
    • 参照されている製品基準、製造許可番号、警告に関するもの
  2. 以下の項目に関する必要条件の強化:
    • 名称
    • 原材料(添加物)名
    • 製造年月日及び賞味期限
  3. 特殊な食品や可食農産物の表示に関する必要条件の標準化

 昨今のコロナウィルスの感染拡大の影響はありますが、今後も中国は日本にとって最大の貿易相手国の一つであることに変わりはないと思います。上記の点について、今後の法案施行の成り行きに注意する必要があると考えています。

参照根拠:
上記内容はREACH24 グループのこちらの記事を基に作成しました。
https://food.chemlinked.com/news/food-news/china-unveils-food-labeling-supervision-administrative-measures-exposure-draft
USDAによる法案の英訳がこちらにあります。
https://www.fas.usda.gov/data/china-draft-measures-supervision-and-management-food-labeling

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シンガポール、糖類添加量の多い飲料の健康レベル情報表示を義務化へ

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 今回は、中国のコンサルティング会社REACH24グループより寄稿頂きました、以下の記事をご紹介させて頂きたいと思います。

▼ 寄稿頂いた原文(英文)記事へのリンクはこちらです。
Sugar-Sweetened Beverages Subject to Mandatory Health Level Labeling in Singapore
(筆者:Yilia Yeさん)


重要ポイント

  • シンガポールで販売されている糖類添加飲料は、主に糖類の含有によって段階分けされる栄養レベルをパッケージに表示しなければならない。
  • シンガポールでは、糖類含有量の多い飲料のマスメディアなどでの広告を全面禁止する予定。
  • シンガポールは先進国の中でも2番目に糖尿病患者の割合が高い国である。

 2019年10月10日シンガポール保健省は、包装済みの糖類含有量の多い飲料に対して、パッケージの前面に栄養情報の表示を義務付けると公表した。主としてその糖類含有量に応じて4または5段階に分けられ、色で区別される。この規制は、シンガポールで販売される、清涼飲料水、果汁、インスタント飲料、ヨーグルト等すべての飲料に適用される。

 この表示要件は、AからEまで段階分けしたフランスの表示様式を手本にしており、Aが最も健康(緑表示)でEが最も不健康(赤表示)となる。

 加えて、シンガポールはEレベル(最も不健康)の飲料に対して、テレビネットワーク、紙媒体メディア、屋外の公的な場所などでのマスメディアの広告を禁止した。この新しい規制が実施されれば、シンガポールは、糖類含有量の高い飲料に対して広告の全面禁止に踏み切る世界初の国となる。その他の国においても同様の規制は実施されているが、例外なく徹底的に実施される世界初の規制となる。

 保健省は、このレベル分けに関して基準を発表していないが、2020年前半にも詳細について発表される模様である。この新しい規制は、1年後から4年後に実施される予定である。
 
 この件に関して、コカ・コーラ社はCNNに対し、この新しい規制を支持すると表明し、同社への影響が最小限になることを願っていると述べた。コカ・コーラ シンガポールを含むヨー・ヒャップセン、ポッカ等飲料大手メーカー7社は、2020年までにそれぞれの製品の糖類含有量を12%以下にするよう以前から表明していた。

 シンガポールは、先進国の中でも糖尿病患者の割合が2番目に多い。これまでの国の政策や市場環境下では、将来的に人口の半数が糖尿病と診断されることになると推定されていた。この甚大な危機的状況を回避するためにシンガポール保健省は糖分の消費を減らすことを主眼に置いた4つの主な提案を行った。

対策 公募の回答率
健康レベル情報表示の義務化 84%
糖類含有量の多い飲料の広告の全面禁止 71%
砂糖税課税 65%
糖類含有量の多い飲料の販売の全面禁止 48%

 砂糖税導入と糖類含有量の多い飲料に対する禁止も引き続き検討されることとなるが、この件に関する同意が比較的低くなっていることから、さらに慎重な検討が必要だとしている。


 ご紹介の記事はシンガポールの内容ですが、各国ではこうしたFOP(Front of Pack)表示に対する取り組みが進められています。日本では栄養成分について視覚化して表示をするような規則はなく、またadded sugarの表示義務もありません。(ただし糖類無添加に関する表示基準はあります。)
 
 今後、各国に輸出を検討される際には、どのような表示事項に対する関心が高いのかなど、様々な規則を通じて知っておくことも大切なのではと思います。


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栄養強調表示に対する基準値比較(日本・米国・EU)

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 世界各国、どこの国の食品のパッケージにおいても、その食品に含まれる栄養成分について、「低カロリー」「低コレステロール」等のキャッチフレーズを目にすることがあると思います。他の国々でも日本と同様に、栄養強調表示の基準を設けています。今回は、日本の食品表示基準において定められている、過剰摂取が問題となりうる栄養成分の「適切な摂取ができる旨」の基準をベースに、米国、EU諸国において定められている栄養強調表示の基準との違いを見てみたいと思います。以下の通り、比較表にしましたので、輸出される食品にこの様な強調表示をご検討されている皆様にはご参考にして頂ければ幸いです。

栄養成分又は熱量の適切な摂取ができる旨の表示の基準値(日本・米国・EUの比較)

栄養成分及び熱量 含まない旨 低い旨 低減された旨
日本
(100gあたり)
米国(注1) EU(注2)
(100gあたり)
日本
(100gあたり)
米国 EU(注2)
(100gあたり)
日本(注3)
(100gあたり)
米国 EU(注2)
(100gあたり)
熱量 5kcal未満 通常消費基準量
(RACC)および表示分量中5kcal未満
4kcal以下
(注4)
40kcal未満 通常消費基準量
(RACC)中40kcal未満(RACCが少量の場合には50g中)
食事および主菜:100gにつき120kcal以下
40kcal以下 40kcal以上 適切な参考食品と比較して通常消費基準量(RACC)中少なくとも25%
(食事および主菜の場合は100gにつき少なくとも25%)
比較される食品間の熱量の30%以上の相対差

表示の際、当該食品の熱量総量を低下させている特性も併せて表示する。

脂質 0.5g未満(注5) 表示1食分量中通常消費基準量(RACC)につき0.5g未満
(食事および主菜の場合には表示1食分量中0.5g未満)
0.5g以下 3g未満 通常消費基準(RACC)中3g以下
(RACCが少量の場合には50gにつき)
食事および主菜:100gにつき3g以下で、脂質由来カロリーが30%未満
3g以下 3g以上 適切な参考食品と比較して通常消費基準量(RACC)中少なくとも25%
または食事および主菜の場合は100gにつき少なくとも25%
比較される食品間の脂質の量の30%以上の相対差
飽和脂肪酸 0.1g未満 通常消費基準量
(RACC)および1食分量中飽和脂肪0.5g未満およびトランス脂肪酸0.5g未満
(食事および主菜の場合には表示1食分量中飽和脂肪0.5g未満およびトランス脂肪酸0.5g未満)
0.1g以下
(但し飽和脂肪酸とトランス脂肪酸の合算量とする)
1.5g未満
ただし、当該食品の熱量のうち飽和脂肪酸に由来するものが当該食品の熱量の10%以下で
あるものに限る。
通常消費基準量
(RACC)中1g以下および飽和脂肪由来カロリーが15%以下
食事および主菜:100gにつき1g以下で飽和脂肪由来カロリーが10%未満
1.5g以下
(但し飽和脂肪酸とトランス脂肪酸の合算量とする)
飽和脂肪酸とトランス脂肪酸による熱量が当該食品に含有する熱量総量の10%を超えないこと。
1.5g以上 適切な参考食品と比較して通常消費基準量(RACC)中少なくとも25%
または食事および主菜の場合は100gにつき少なくとも25%
比較される食品間の飽和脂肪酸とトランス脂肪酸の合算量の30%以上の相対差

トランス脂肪酸の含有量が、比較される食品と同一若しくはそれ以下

コレステロール 5mg未満
ただし、飽和脂肪酸の量が1.5g未満であって当該食品の熱量のうち飽和脂肪酸に由来するものが当該食品の熱量の10%未満のものに限る。
通常消費基準量
(RACC)および表示分量中2mg未満
(または食事および主菜の場合は表示1食分量中2mg未満)
記載なし 20mg未満
ただし、飽和脂肪酸の量が1.5g以下であって当該食品の熱量のうち飽和脂肪酸に由来するものが当該食品の熱量の10%以下のものに限る。
通常消費基準量
(RACC)中20mg以下
(RACCが少量の場合には50gにつき)
食事および主菜:100gにつき20mg以下
記載なし 20mg以上
ただし、飽和脂肪酸の量が当該他の食品に比べて低減された量が1.5g以上のものに限る。
適切な参考食品と比較して通常消費基準量(RACC)中少なくとも25%
または食事および主菜の場合は100gにつき少なくとも25%
記載なし
糖類 0.5g未満 Sugar free:
(無糖)
通常消費基準量
(RACC)および表示分量中0.5g以下
(または食事および主菜の場合は表示1食分量中0.5g未満)
0.5g以下 5g未満 定義なし
使用出来ないことがある。
5g以下 5g以上 適切な参考食品と比較して通常消費基準量(RACC)中少なくとも25%
または食事および主菜の場合は100gにつき少なくとも25%
比較される食品間の糖類の量の30%以上の相対差

該当食品の熱量が、比較される食品と同一若しくはそれ以下

ナトリウム 5mg未満 通常消費基準量
(RACC)および表示分量中5mg未満
(または食事および主菜の場合は表示1食分量中5mg未満)
0.005g以下 120mg未満 通常消費基準量
(RACC)中140mg以下(RACCが少量の場合には50gにつき)
食事および主菜:100gにつき140mg以下
※とても低い旨:
通常消費基準量
(RACC)中35mg以下(RACCが少量の場合には50gにつき)
食事および主菜:100gにつき35mg以下
0.12g以下
(0.04g以下:とても低い旨)
120mg以上 適切な参考食品と比較して通常消費基準量(RACC)中少なくとも25%
または食事および主菜の場合は100gにつき少なくとも25%
比較される食品間のナトリウムの量の25%以上の相対差
  • (注1)米国の「含まない旨」について、脂質、飽和脂肪酸、コレステロール、ナトリウム、糖類については、当該栄養素の強調表示にアスタリスク(*)を付け、「わずかな〇〇が加えられています」という注釈を付ける場合を除き、一切当該栄養素またはこれを含むと思われる成分が含まれていてはなりません。
  • (注2)EUの基準では食品分類によって例外があります。
  • (注3)日本では「低減された旨」を表示する場合、低減された量が上記基準値以上であることに加え、低減された割合について、比較対象品との相対差が25%以上であることが必要です。
  • (注4)熱量については甘味料を除き100ml当たりの基準です。
  • (注5)食品分類により例外があります。

 上記比較表より、日本と大きく異なる点としては、以下の様な内容が確認出来ます。EU、米国どちらも日本より細かな基準が設けられている点については注意が必要ですが、米国の基準についてはより独自性の強いものが多く見られます。

  • 日本とEUでは、概ね100g単位で基準が設けられています(液体は上記以外、100ml単位に基準があります。)が、米国では、別途「RACC(通常消費基準量:当該食品の標準的消費量)」や「食事における主菜100g単位」という独自の単位をベースに基準が設けられている点が大きく異なります。
  • 米国では、日本で基準が設けられている「糖類」の「低い旨」の強調表示に定義がありません。
  • 米国では、飽和脂肪酸の「含まない旨」栄養強調表示について、「トランス脂肪酸」の上限値を設けています。

 又、米国では、上記基準以外にも、魚介類または狩猟肉製品の「脂質」に関する栄養強調表示について、「Lean(脂質分の少ない)」並びに「Extra Lean (脂質分の特に少ない)」を表示する場合の細かな基準が設けられています。(下記FDAウェブページ10. APPENDIX B(10. 付録B)に記載があります。)

 以上、栄養強調表示の「適切な摂取ができる旨」について、日本とEUそして米国の基準の違いをまとめてみて、特に米国の基準の独自性には注目すべきであり、今後、米国向け食品のパッケージ上にこの様な表示を検討される場合は、基準値を満たすことについて、とりわけ十分に確認を行った上で進められるべきと考えます。


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米国とEUの食品表示基準に見る「複合原材料」の表示方法の日本との違いと注意点について

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 昨今、世界各国では関税等の貿易における垣根を低くし、相互の製品を安く仕入れる様に出来る仕組みを取り入れる動きが益々加速する中、2019年2月1日より、日欧間の経済連携協定(EPA)が発効されました。
これにより今後はチーズ、チョコレートやビスケットといったヨーロッパの輸入食品についても段階的に関税が下げられていきますので、より安い価格での販売が可能になることでしょう。又、反対に欧州での和食人気を考えると輸出に対する期待も高まっています。

 そこで今回は、この様に今後食品の輸出入が増加傾向にあることを踏まえ、日本と海外の食品表示作成のルールの違いとその注意点に着目しました。加工食品に使用する「複合原材料」を例にとって説明してみたいと思います。

 日本では、複数の原材料から成る、いわゆる「複合原材料」を使用して製造する食品の場合、以下の例のように、当該原材料の名称の次に括弧を付し、これを構成する二次原材料を最も一般的な名称をもって表示することが基本となっています。
(参照根拠:食品表示基準Q&A 加工-51)

マヨネーズ(食用植物油脂、卵黄(卵を含む)、醸造酢、香辛料、食塩、砂糖)

 一方、以下の様な条件下であれば、複合原材料そのものを表示せず、これを構成する二次原材料を分割して表示することも認められています。
(参照根拠:食品表示基準Q&A 加工-52~53)

  • 分割した状態にしても性状に大きな変化がないこと
  • 複合原材料名が消費者の理解できる一般的な名前ではないか、単に二次原材料の混合されたもので、複合原材料としての表示にメリットがないこと

【一例】
「加糖卵黄(卵黄(卵を含む)、砂糖)」⇒「卵黄(卵を含む)、砂糖」との表示が可能

 又、この様な複合原材料については、上述のQ&Aにも「加工食品を仕入れて、それを原材料として使用する場合」という様に、仕入れて使用する加工原材料であることが前提となっています。

 では、他国において、この「複合原材料」はどの様に表示方法が定められているのか、EUとアメリカを例にとって見てみましょう。

【EUの場合(参照根拠:REGULATION (EU) No 1169/2011)】

(原文)
PART E — DESIGNATION OF COMPOUND INGREDIENTS
1. A compound ingredient may be included in the list of ingredients, under its own designation in so far as this is laid down by law or established by custom, in terms of its overall weight, and immediately followed by a list of its ingredients.

(要点のみ和訳)
慣習的に確立された名称であり、複合原材料全体の重量で表示されており、二次原材料をすぐ後ろに続けて記載すれば、複合原材料としての表示は任意で可能。

【米国の場合(参照根拠:FDA 21CFR101.4 Food; designation of ingredients.)】

(原文)
(b)-(2) An ingredient which itself contains two or more ingredients and which has an established common or usual name, conforms to a standard established pursuant to the Meat Inspection or Poultry Products Inspection Acts by the U.S. Department of Agriculture, or conforms to a definition and standard of identity established pursuant to section 401 of the Federal Food, Drug, and Cosmetic Act, shall be designated in the statement of ingredients on the label of such food by either of the following alternatives:

(i) By declaring the established common or usual name of the ingredient followed by a parenthetical listing of all ingredients contained therein in descending order of predominance except that, if the ingredient is a food subject to a definition and standard of identity established in subchapter B of this chapter that has specific labeling provisions for optional ingredients, optional ingredients may be declared within the parenthetical listing in accordance with those provisions.

(ii) By incorporating into the statement of ingredients in descending order of predominance in the finished food, the common or usual name of every component of the ingredient without listing the ingredient itself.

(要点のみ和訳)
別途定めのない限り、一般的な名称を持つものであれば、以下のいずれかの方法で表示が可能。

  1. 一般的な名前に続けて括弧付きで最終製品における含有率の高い順に二次原材料を表記する。
  2. 複合原材料名は表示せず、その各二次原材料の一般的な名称を最終製品における含有率の高い順に表記する。

 上記の内容からお気付きの通り、EUにおいてもアメリカにおいても、一般的な名称を持つものであれば、複合原材料は、その原材料名を表示することが可能であり(但しこの場合、二次原材料を後ろに続けて記載することが日本と同様に必要)、又、複合原材料を分割して、その二次原材料の一般的な名称のみを表示することもアメリカでは可能であることが判ります。
又、日本の場合※と異なり、どちらの場合も複合原材料が仕入原材料であるという前提の記載がありません(※日本では「食品表示基準Q&A」に記載されています)。

 従って、特にアメリカから食品を輸入し販売される際に、該当食品の原材料が記載された規格書等を入手すると、表示上の記載が前提となっている場合、仕入れ原材料であっても複合原材料が既に二次原材料にまで分割して記載されている可能性があり、ラベルを作成される際に注意が必要です。この場合、現地サプライヤーには、当該原材料が仕入れ原材料であるかどうかと、もしその場合、日本では二次原材料を分割記載するのではなく、あくまでも複合原材料名を記載するのが基本ですので、どの原材料が何という複合原材料を構成しているかの詳細を確認することが、ラベル作成において必要となります。

 さて、今度は輸出の場合で考えてみましょう。うどんのトッピングにも使用される「天かす」を複合原材料とした米国向け食品があるとします。
そもそも「天かす」というもの自体が米国で馴染みのないものであり、この場合、結果として各二次原材料である「小麦粉」や「植物油脂」などを分割して表記することになります。これは「天かす」が仕入れ原材料であることを考えると、日本の食品表示基準上と全く異なることが分かります。
米国では、原材料名が一般的ではない「複合原材料」は、仕入れ原材料如何を問わず分割して表記しなければならない場合がありますので、こちらもラベル作成の際には注意が必要です。

 今回は米国・EUと日本の食品表示基準の違いの違いをご紹介して参りましたが、これらはほんの一部であり、輸出入いずれの食品表示作成においては他にも多くの相違点があり、日頃からこれらに着目しておく必要があります。
無論、米国・EU以外の世界各国においても日本とは異なる表示基準が数多く存在していることは言うまでもありません。


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