外食等におけるアレルゲン情報の提供について

By | 2014年11月1日
Pocket
LINEで送る

2014restaurant

今月のコラムではアレルゲン表示について触れてみたいと考えています。

今年より消費者庁にて何度か開催されている「外食等におけるアレルゲン情報の提供の在り方検討会」についてです。読者のみなさんの多くは加工食品に携わる方と思いますが、現在の加工食品においてもアレルゲン表示対策は最重要課題のひとつであり、また新しい食品表示基準のもとでも表示方法に変更がありますので、改めてアレルゲン表示について考えるきっかけになればと考えております。

基本的なスタンスと加工食品との違い


5回目の検討会でいったん情報が整理され、基本的なスタンスについてまとめられました。外食においても「アレルゲン情報が正確かつ適切に提供されることが望ましい」としながらも、「表示の義務化については慎重に考える必要がある」とした考え方です。既に義務化されている加工食品と最も状況が異なる点として、加工食品の計画生産に対し外食は注文生産に近いオペレーションであることから、原材料の調達計画と、調理作業中でのコンタミネーション防止策の影響度合いに大きな違いがあることにも触れられています。

アレルゲン情報提供の内容と方法


情報提供の内容については「加工食品におけるアレルギー表示の対象品目に係る情報提供が基本」とし、そのうえで「コンタミネーションの防止措置が取られていない場合においては、その旨の注意喚起を行う情報提供」なども必要との議論のほか、料理の持込への対応や近隣の医療機関に関する情報提供など、外食ならではの情報提供内容についての議論が整理されています。

情報提供の方法としては、患者さん側の立場より「WEBサイト等による事前の情報の提供があると助かる」ことからWEBサイト等についてまず挙げられていますが、やはり「メニューの見直し等にあわせて正確な情報に更新されること」が課題となります。
そのうえで「電話等を含めた相対でのコミュニケーション」も重要になるのですが、そこでは従業員の知識不足や独自判断による事故を起こすことがないよう、店舗の関係者の間で食物アレルギーの対応に係る情報の共有とそのための体制整備が必要であることが課題として認識できます。

情報管理と従業員教育


アレルギーに関する情報提供を行う際には、情報が管理されていることが前提になります。「原材料管理」と「フロー管理」、そして「従業員教育」の仕組みです。この体制の整備があってはじめて、正確で検証性のある情報提供が実現できるかと思います。

入れ替わりの多い現場の従業員に対しては基本的な教育による対応を検討し、専門的な事項については現場責任者や本部担当者による回答をするなど、事業者には組織としての対応も求められる一方で、十分な情報提供により最終的には個人ごとに異なる症状をもつ患者さん自身に判断してもらえるようにするなど、双方の立場にたった課題解決が大切であると感じます。

今後の実務上でのポイント


外食WEBサイトでのアレルギー情報の更新と管理に携わると、こちらの情報提供の量に応じて検索キーワードの割合やアクセス数も変化していることが実感できます。またWEBサイトからの情報提供量が増えれば、店舗スタッフへのお客様からの質問も増えますので、店舗での対応方法などWEBサイトと連動した運用を決めておくことが、実務においては重要なポイントであると思います。

これはアレルギー情報に係らず、オーガニックや思想・信仰によるものなど、原材料や調理方法の確認が必要なすべての食品においても同じことが言えるかもしれません。自分が作った食品を、より多くの人に食べてもらいたいと考えるときには、ぜひ一度この「外食等におけるアレルゲン情報の提供の検討会情報」に、目を通しておかれることをお薦めします。

参照資料:外食等におけるアレルゲン情報の提供の在り方検討会情報(消費者庁)
http://www.caa.go.jp/foods/index20.html


食品表示作成・チェックサービス(国産食品、輸入食品):
国内で製造し国内で販売する食品、海外で製造し国内で販売する食品向けの食品表示サービスを提供しています。新しい食品表示基準への改版業務、現行のラベルのダブルチェック、添加物やアレルゲン等の社内チェック基準づくりをサポートいたします。
国内向けの食品表示作成・チェックサービスはこちら

食品表示チェック・翻訳サービス(海外向け、輸出食品):
国内で製造し海外で販売する食品、海外で製造し海外で販売する食品向けの食品表示サービスです。提供実績国数は約20ヵ国、各国現地の検査機関等との協業により、実態に沿ったラベルレビューや原材料リサーチ、翻訳をご提供いたします。
海外向けの食品表示チェック・翻訳サービスはこちら

Pocket
LINEで送る

The following two tabs change content below.
川合 裕之
食品表示検査業をしています。国内と海外向けに、食品表示検査と原材料調査サービスを提供している経験をもとに、食品表示実務に関する講演をしています。

■職歴・経歴
1974年 岡山県生まれ
食品メーカー勤務後、2003年に食品安全研究所(現株式会社ラベルバンク)を設立。
「分かりやすい食品表示」をテーマとし、「食品表示検査・原材料調査」などの品質情報管理サービスを国内から海外まで提供しています。また、定期的に講演活動も行っています。

■主な著作物・寄稿ほか
【共著】
『基礎からわかる 新・食品表示の法律・実務ガイドブック
Food Labeling Law and Practical Guidebook』 (レクシスネクシスジャパン, 2014)
【寄稿】
・2017年~2018年連載 『食品と開発』(UBMジャパン)表示ミスを防ぐための食品表示実務の大切なポイント~
・2014年~連載『季刊シール&ラベル』(日報ビジネス)食品表示にまつわるワンポイントアドバイス
・~2010年連載 『フードプラスワン』(日報アイビー)食品表示ワンポイントレッスン
・~2010年連載 『ヘルスケアマーケットレビュー』(大阪産業創造館)
【講義】
・2009~2014年 東京農業大学生物産業学部 特別講師

■最近の講演実績
・2019年2月22日 食品表示作成・チェックにおける実務上の大切なポイント~アレルゲン、栄養成分、原料原産地表示などを間違えないために~
 公益財団法人 山口県予防保健協会、山口県、一般社団法人 山口県食品衛生協会様主催。
・2019年2月26日 すべての加工食品が対象~原料原産地表示のポイントについて~
 兵庫県指定観光名産品協会様主催。

>> 寄稿・コラムの詳細はこちら
>> 講演・セミナーの詳細はこちら